北陸新幹線の呼び名をめぐる、沿線の温度差 東京は「E7系」、金沢は「W7系」、富山は?

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E7系のロゴ

一方で、来年3月開業の上越妙高―金沢間はJR西の管轄だ。このため、JR西は同地域において「W7系」を盛んにアピールしている。そのため、見学ツアーなどのイベントでも「W7系」の名称が使われ、新聞やテレビも「W7系」を連呼している。

東北新幹線E5系に「はやぶさ」という愛称がついているように、北陸新幹線にも東京―金沢間を最短時間で結ぶ「かがやき」、富山―金沢間をシャトル往復する「つるぎ」といった愛称がつけられる。ただ、今のところ、金沢市内では、北陸新幹線車両は愛称よりも「W7系」のほうが定着している。

開業後は金沢駅にE7系も乗り入れるわけだが、両者の見分けは困難だ。将来は、同じ北陸新幹線車両であっても、東京ではE7系、金沢ではW7系と呼ばれるようになるかもしれない。

富山との微妙な温度差

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W7系のロゴ

ちなみに前出の櫛引准教授によれば、富山県では、石川県に比べると、JR西の管轄であるにもかかわらず、「E7系」の名を使ったり、「W7系・E7系」と併記する例が目立つという。金沢と比べると、富山のほうが文化面で東京圏の影響を受けているからという見方ができるかもしれない。

名称をめぐる微妙な温度差は、「背景には、藩政期にさかのぼる石川県と富山県の歴史的な関係に加え、最終ターミナルが金沢となったことで富山県民の間で新幹線の開業効果に対する期待感が石川県ほどには及んでいないといった要因もあるのでは」と、櫛引准教授は指摘する。北陸新幹線が富山県内を走るとき、果たしてどのような名称で呼ばれるか。興味は尽きない。

大坂 直樹 東洋経済 記者

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おおさか なおき / Naoki Osaka

1963年函館生まれ埼玉育ち。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。生命保険会社の国際部やブリュッセル駐在の後、2000年東洋経済新報社入社。週刊東洋経済副編集長、会社四季報副編集長を経て東洋経済オンライン「鉄道最前線」を立ち上げる。製造業から小売業まで幅広い取材経験を基に現在は鉄道業界の記事を積極的に執筆。JR全線完乗。日本証券アナリスト協会検定会員。国際公認投資アナリスト。東京五輪・パラにボランティア参加。プレスチームの一員として国内外の報道対応に奔走したのは貴重な経験。

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