新党の党名に隠された意味と狙い

新党の党名に隠された意味と狙い

塩田潮

 与謝野元財務相、平沼元経産相らが「たちあがれ日本」を結成した。だが、標語の「日本再生」は建前にすぎず、隠れた狙いは世襲制限に傾く自民党からの離脱と数年後のメンバーたちの世襲実現ではと疑う声もある。
 新党の先輩の渡辺・みんなの党代表は、5人の国会議員の平均年齢69.6歳という点を皮肉って、「えっ、立ち枯れ日本?」ときつい冗談を口にした。

 東京の山田杉並区長らの「首長連合」の動きもあり、新党旗揚げ競争の様相だが、党名の命名を見ると、結党の背景や事情によって3つのタイプに分類できる。
 第1は長期存続を前提に、政治理念や達成目標などを党名に込める「理念型」、第2は政界再編をにらんだ過渡的な結集と自覚した上で清新さをアピールする「一時結集型」、第3は選挙での集票を最優先に考える「選挙対策型」だ。比例代表制の導入以後、この型が目立っている。

 民主党という命名は、1996年の結党時に党名選定の実務を担った簗瀬現参議院予算委員長によれば「当時、橋本首相の自民党に新自由主義的色彩が出ていたので、アンチという意味もあって」とのことで、理念型だ。自由民主主義の自民党、社会主義や共産主義を目指す旧社会党や共産党もこの型に入る。90年代の日本新党、新党さきがけ、新進党、現在の国民新党は、党名からは方向性が判断しにくく、一時結集型である。公明党という名前も元来、選挙対策型だったが、みんなの党も総選挙対策の命名だったと見て間違いない。

 とはいえ、「イデオロギーの終焉」と呼ばれる時代の有権者は理念型を忌避する傾向があり、各層からの幅広い支持を基盤とする包括政党はますます「無臭の党名」に傾斜しがちだ。
 だが、政党は達成目標や路線、政策を明確に打ち出して同じ旗の下に結集する仲間を糾合し、国民の支持を競うべきで、党名はそれを一語で象徴するスローガンである。たちあがれ日本は「無臭の党名」ではなく、一応、理念型に分類できるが、名は体を表すのか、それとも羊頭狗肉に終わるのか、そこがこれからのチェックポイントだろう。
(写真:今井康一・梅谷秀司)
塩田潮(しおた・うしお)
ノンフィクション作家・評論家。
1946(昭和21)年、高知県生まれ。慶応義塾大学法学部政治学科を卒業。
処女作『霞が関が震えた日』で第5回講談社ノンフィクション賞を受賞。著書は他に『大いなる影法師-代議士秘書の野望と挫折』『「昭和の教祖」安岡正篤の真実』『日本国憲法をつくった男-宰相幣原喜重郎』『「昭和の怪物」岸信介の真実』『金融崩壊-昭和経済恐慌からのメッセージ』『郵政最終戦争』『田中角栄失脚』『出処進退の研究-政治家の本質は退き際に表れる』『安倍晋三の力量』『昭和30年代-「奇跡」と呼ばれた時代の開拓者たち』『危機の政権』など多数
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