コロナ禍で積極採用、タクシー大手が狙う果実 業界2位の国際自動車社長が語る生き残り方

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――この状況下でも新卒採用にこだわる理由は何でしょうか。

タクシー事業は100年以上の歴史がありますが、極端な言い方をすればその間に劇的な変化はなく、現在まできたという側面がある。それがここ数年で急速にIT化が進み、ライドシェアなどの新たな概念も生まれてきた。これまでは業界の外にあった要因により、全体が変化の時を迎えており、新型コロナもその1つの契機となるかもしれません。

だからこそ私のように古くからタクシー業界に浸かってきた人間ではなく、まったく違う角度から柔軟な発想が求められるとも感じています。実際、新卒の若い子たちと話していると学びがあるし、その意見によって制度を変えたことも多い。

釣り銭をドライバーが用意していた

一番よい例が、運賃のつり銭です。釣り銭のお金は、ドライバー自身のお金というのが業界の通説でした。ところが、自分で釣り銭を準備しなきゃいけない仕事なんて普通はないですよね。1日に、2万も3万も両替しなきゃいけないわけですから。それを新卒の社員が『こんなことはおかしい』と問題を提起しました。

調べてみると、全国でも会社が用意しているところはなかったわけです。じゃあやろう、と会社で用意するようになった。このように他の業界からしたら考えにくい文化も残っている。新しいことを実践していけるのは、タクシーの仕事に染まっていない世代の人たちだと思っています。

――新卒以外でも国際自動車では芸人やスポーツ選手など多分野からユニークな人材採用を行っているイメージがあります。

ずっと当社で働いてくれたら理想ですが、当然難しい方もいらっしゃる。漫画家になりたい、留学資金を貯めたい、プロスポーツ選手になりたい、教師になりたいと、いろんな方が会社に在籍している。それなら夢を追いながら、人生の一時にタクシーの仕事をするという選択肢もあっていい。

個々人の目標やライフスタイルを大切にすべきだし、個性がある人は魅力的ですから。個人的にもそういう人たちが好きで応援したい、という気持ちはあります。

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