離婚する前、「ちょっと待って」という区役所 あくまでも子ども目線で――文京区長(上)

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現状のベビーシッター制度は高すぎて使えない

成澤:話は変わりますが、子育てしていて、もうひとつ問題だな、と思うことは、ベビーシッターサービスです。ものすごく高い。

坂之上:1時間4000円とかありますよね。1時間2000円でもキツいです。

成澤:そうなんですよ。パートで働いている人が、時給4000円で働いてますか?って話です。シッターさんを雇って赤字になるなら、誰も働きになんて出ないです。だけど、誰が提供しているかよくわからないサービスは恐ろしくて使いたくない。

自分の払える値段で、安心して預けられるところがあるなら、どのお母さんだって、ほんとうは怪しいサービスを使いたくはない。使いたくて使っているわけではないんですよ。

坂之上:もちろん、そうです。

成澤:でも、民間だって赤字でやっていくわけにいかないでしょ。そうすると、どうしても人件費がかさんで、料金が高くなってしまう。

坂之上:完全に、労働集約型のビジネスモデルですからね。

成澤:その一方で、これを区が運営すると、今度は役所の負担が大きくなりすぎてしまいます。区民の理解も得づらいですし。

坂之上:子どもがいる家庭ばかりじゃないですから、区民の負担が大きくなりすぎても不公平感がでてしまいますよね。

成澤:わたしはね、社会福祉協議会(社協)みたいな、「役所でもなければ、民間でもない」というところによるシッターサービスを始められないかと考えています。社会福祉法人というのは、非営利の団体なので、区の運営でも、民間でもありません。そこにやってもらえば、価格を民間の3分の2とか、半分ぐらいにできる。

坂之上:だけど、社協なら、すでにファミリー・サポート・センターをやってますよね? 

成澤:そうそう、やってます。保育所への送り迎えとか、親が困ったときにボランティアの人が助けてくれます。ところが、今は利用したい方の数に比べてボランティアの数が少なくて、なかなか利用実績が増えないんですよ。

これをボランティアじゃなくて、サービスに変えたら、うまくいくんじゃないかと思ってね。社協なら、おカネがかかりすぎるということにもならないし、安かろう悪かろうにもならない。

区はまったくノータッチなわけじゃなくて、ある程度、おカネも出して出資しているので、利益率は民間の半分ぐらいで十分。もし利益が出たら、ホームヘルプサービスとか、見守り訪問とか、社協のほかの事業に回せばいい。

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