ルノー日産・ダイムラー提携、ブリュッセルの会見での質疑応答・一挙掲載【ルノー日産・ダイムラー提携会見(3)】

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ルノー日産・ダイムラー提携、ブリュッセルの会見での質疑応答・一挙掲載【ルノー日産・ダイムラー提携会見(3)】

仏ルノーと独ダイムラーは2010年4月7日、戦略的協力に合意した。同時に、株式の交換による相互出資を発表した。ルノー・日産アライアンス(以下ルノー日産)がダイムラー株を3.1%、ダイムラーがルノー株及び日産株を3.1%保有する。

7日朝(日本時間7日夕)にベルギー・ブリュッセルで開催された会見後半の主な質疑応答は以下の通り。

--過去、クライスラーと協業して学んだことは何か。新しいパートナーシップにそれを上手く生かせるのか。

ツェッチェ会長 クライスラーとの提携と今回との違いは、クライスラーとは合併に合意したものの、協力の内容についてはあまり考えてなかった。そこが大きな違いだ。今回は、特定のプロジェクトについて過去数カ月、そして今も、複数のチームで検討を進めてきている。「スマート」や「トゥインゴ」の開発に関してなどだ。両社にメリットがあるとわかり、さらに一歩、歩を進めると決めた。戦略的なパートナーシップ締結に至った。その象徴として、非常に少ないが株式交換に至った。

今回の提携に関しては極めて楽観的でおり、成果もクライスラーの時とは正反対になると期待している。

--ゴーン社長に2点聞きたい。今回の提携交渉は、当初ルノーとダイムラーの間で始まったと理解している。しかし最終的には日産自動車も加わった。今回の提携が特に日産にどういったメリットをもたらすのか。もう1つは、3.1%という株式交換比率についてである。なぜ3.1%で、5%や10%ではないのか。

ゴーン会長 これはアライアンスではなく、戦略的な協力関係で、この2つは大きな違いがある。

自動車業界における協業にはさまざまな形態がある。1つには、協力関係(コーポレーション)というものがある。特定の商品だったり、エンジンやトランスミッションというような特定の領域に限って協業することはたくさんある。それは時間も制限があり、対象もだいたい決められている。

もう一方には資本参加(アライアンス)がある。すべてを共有し、株式交換比率も大きく、経営層の人材交流もある場合がある。それぞれの会社が個別のアイデンティティを維持し、意志決定機関が異なっていてもだ。

その間にあるのが「ストラテジック・コーポレーション(戦略的提携)」だ。1社だけなく複数の会社が参加し、もっと拡大する可能性もある。株式の持合をするが限られている。経営層の交流もない。性質がそれぞれ異なるのだ。

向こう5年間で20億ユーロ以上のシナジー効果があると会見で申し上げたが、これはコスト削減だったり、追加的な事業から発生する。この20億ユーロは、ルノー日産の中で5割程度ずつとなるだろう。

提携の議論は、当初、ダイムラー「スマート」の新型車の話から始まった。共同プラットフォームで車を開発すれば双方にメリットがあるのではないか、というような・・・。その過程でさまざまな協業領域があると発見し、勇気付けられ、さらに他の可能性がある領域がないか議論を進めていった。ダイムラーは今ありうる最適のパートナーだ。なぜなら、われわれは競合しないからだ。補完性が強い。多少オーバーラップしてもたいした意味は持たない。

なぜ3.1%なのか。どうやって3.1%にしたのか。もちろん、多くの比率もロールプレイした。相互出資については、シンボル的な数字が必要だった。長期的であり、戦略的であるということ。一時的な関係だと、両社の従業員がノウハウを共有化する気にならない。また、今の時期には多くのキャッシュをそういったことに使うわけにはいかない。だから3.1%ということだ。当初から0~5%の比率を考えていた。 

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