結局「自動運転」はいつどのように実現するのか 6Gの時代をリアルに想像することの重要性

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レベル2とは、前後・左右の運転操作の一部をシステムが行う段階だ。すでに、自動ブレーキ(衝突軽減ブレーキ)や、前の車の速度に合わせて車間距離を維持してくれるアダプティブ・クルーズ・コントロール(ACC)、車線の中央付近を走るようにする車線維持支援システムなどが搭載された車に乗り、その便利さを感じている人も多いだろう。

これが、レベル3になると緊急時に運転操作をする必要はあるものの、高速道路など特定の場所ではシステムがすべての運転作業をしてくれるようになる。逆にいえば、不測の事態が起きなければ、ドライバーは何もしなくてもいいことになる。

法規制などの問題はあるが、すでにもう技術的には、例えば高速道路での運転を車に任せ、ディスプレーで映画を見るのも可能だし、仕事のメールを返しながらでも車は走行できることになる。

つまり、レベル2とレベル3が、運転するのが人間か、システムかの境目になる。まさに「自動運転」への過渡期にいま、われわれはいるのだ。

ちなみに、レベル4は緊急時も含めて、高速道路など一定の場所でシステムが問題なく運転する状態、そしてレベル5は最初に述べたように場所の限定なく、システムがすべてを操作する段階だ。

2040年に、新車でのレベル3以上の自動運転システム車は、4112万台になり、世界の新車の29.4%を占める。2030年以降、レベル4が普及し、2040年には完全自動運転の「レベル5」も実用化しているとみられる。

すでに未来を変える技術はチラホラ実用化されている

こうした自動運転の実現に向けて、欠かせないのがセンサー類だ。自動運転に大切なのは、もちろん周辺の構造物、周りを走行するほかの車両や歩行者などを正確に認識することだ。車にはカメラや、レーダーなどを含んだ膨大なセンサーが搭載され、それを使って走行中に周囲の地図を自動的に生成する。もちろん、衝突する可能性がある通行人や車両などの動きも常時把握する。

センサーの1つにミリ波レーダーがある。これは、マイクロ波である電波が、周りにあるものに反射して戻ってくるまでの時間を計測することで、対象物までの距離を計測できる技術だ。正確な物体の把握は得意ではないが、雨や雪など悪天候でも影響を受けにくい特性がある。

ミリ波レーダーは、実は現在でも自動車に搭載されている。大衆車1台当たりに3個、高級車には6個といわれている。自動運転になると、これが15個は搭載されるといわれている。センサーにはさまざまな種類があり、それぞれ一長一短があるので、こういったセンサーをいくつか組み合わせ、安全な自動運転を実現する。これだけみても、いかにセンサーの塊になるかがわかるだろう。

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