アライドアーキテクツが描くマーケの未来 SNS、スマホでマーケティングは激変する

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住友商事からゴルフダイジェスト・オンライン、その後アライドアーキテクツを設立した中村社長(撮影:梅谷秀司)
フェイスブックやツイッター、ミクシィなど、日本でもすっかり定着したソーシャルメディア。最近ではこうしたメディアの集客力や拡散力に注目し、企業が広告やマーケティングに活用するケースが増えている。
そんな中、2008年からソーシャルメディア上でキャンペーンが実施できるサービスを提供し、企業の宣伝・販促活動を支援しているのが、アライドアーキテクツだ。同社のサービス「モニプラ」は、企業がブロガーやフェイスブックなどのSNSユーザーを対象に、モニターイベントや各種キャンペーンを実施できるプラットフォームサービス。会員ユーザーがキャンペーンに参加し、SNS上で拡散することで販促効果を狙う仕組みだ。現在はフェイスブック向けを中心に会員ユーザーと顧客企業を伸ばしている。2013年11月には東証マザーズ上場を果たした。
同社を率いる中村壮秀社長は、住友商事からゴルフダイジェスト・オンラインの創業に携わり、その後アライドアーキテクツを設立した異色の経歴の持ち主。SNSによるマーケティングのメリットは何か。モニプラの成長戦略は。中村社長に聞いた。

 

――住友商事出身、ベンチャーを続けて立ち上げるなど、異色の経歴です。

新卒で商社を選んだのは、さまざまなビジネスを通じて、いち早く成長できると考えたからだ。リテール部門でフードビジネスを担当し、カフェの研修では毎日トイレ掃除からビラ配り、レジ打ちまでこなした。当時は「こんなことまでやるのか」と不満だったが、現場からビジネスを積み上げる重要性を学べたことはとてもいい経験になっている。このときから「いつかは自分の会社を作りたい」という思いがあった。

入社した1997年以降は、楽天やサイバーエージェントなどのIT企業が設立され、インターネット産業が盛り上がっていった時期だ。僕も、時代にあった新しいビジネスは何かと考える中で思いついたのが、大好きなインターネットと趣味のゴルフの組み合わせだった。そこで、ゴルフ場の予約サービスや、スコアリングのコミュニティサービスができないかと企画を持ちかけたのが、ゴルフダイジェスト。同社もネット事業に取り組み始めたタイミングだったので「一緒にやらせてください」とメンバーに加わった。

2008年の米大統領選をヒントに

住友商事はそのまま勢いよく辞めた。若気の至りもあったかな。その後のITバブル崩壊もあって、同期には「あいつ、やっちゃったな」なんて言われたけど(笑)。こうして創業したゴルフダイジェスト・オンラインではeコマースを担当することになった。

――起業に至った経緯は何ですか。

2000年代半ばにかけてブログやSNSが利用されるようになると、eコマースサイトにもこうしたメディアを経由したアクセスが増えてきた。それまではポータルサイトなどからの流入がメインだったので「何か新しい、大きな流れが来ているぞ」と感じていた。そこで、以前から起業したいという気持ちもあったので、SNSを活用したビジネスを立ち上げようと決めた。ただ、今思えば、牧歌的な起業だった。具体的なビジョンがなく、2005年の創業から3年間は鳴かず飛ばず。さまざまなサービスを試したが、なかなかヒットしなかった。

転機となったのは、2008年の米国大統領選挙だ。オバマ大統領はフェイスブックなどのSNSを駆使したキャンペーンを展開し、勝利に結びつけた。これを機に人や企業を結びつけるSNSが本格化にビジネスにも活用されていくはずだと思った。モニプラのブログ向けサービスを始めたのもこの時期だ。

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