ゲレンデに客を呼び戻した白馬五竜スキー場の挑戦

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施設は24時間営業 社員の意識改革も

2月のある週末。大雪の悪天候にもかかわらず、リフトには長い行列、ゲレンデには人、人、人。 スキーブーム再来かと見まごうほどの盛況ぶりだったのは、長野県・白馬五竜スキー場だ。隣接して98年長野オリンピックの舞台にもなった八方尾根スキー場がある。知名度もゲレンデの規模も宿泊施設の収容人数も、八方のほうが上だろう。それでも客は五竜に集まる。07年度(06年11月~07年3月)の客数は、八方尾根33万人に対し、白馬五竜は37万人だった。

名物コースがあるわけでも、有名な温泉があるわけでもない。なのに、なぜ客は集まるのか。そこには、経営者の発想の転換があった。

白馬五竜スキー場を運営するエンレイは、02年に親会社の地元デベロッパー、信州塩嶺高原開発から分社。以後、同スキー場の運営を専業としている。エンレイ発足と同時に、駒谷嘉宏社長は、運輸業であるスキー場運営から、いかにサービス業へと脱皮させるか、を考えたという。

スキー場を運営する索道事業者は、鉄道事業法に規制された運輸業であり、売り上げの80~90%をリフト券などの索道収入に依存している。「だが、客はリフトに乗りに来るのではない。スキーを楽しむために来る」と駒谷社長。客が求めるものとスキー場に不足しているものを、一つずつ照らし合わせていった。

第一に、他産業と比較しても見劣りしない施設の充実。90年に建設したスキーセンター「エスカルプラザ」を、夜中や未明に到着する客のために24時間営業にした。仮眠ルームや大浴場を備え、1日15時間営業の売店も設置する。

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