日立の中西新社長が就任会見。「選択と集中の継続」と「成長狙ったM&A」で真のグローバル企業目指す

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 ただ、これまでのHDD事業やPDP事業といった日立が買収した事業の結果は芳しくない。「過去のM&Aがうまくいかなかったのは、HDD事業だと製造業の基本が出来ていなかった。量産したが品質やコスト、デリバリーが出来ていなかった。日立のカルチャーにないものを経営していく技量が不足していた」と分析。「今後はちゃんと経営する仕掛けを作る」と過去の失敗にめげることなく、M&Aに挑む意気込みを語った。

それだけではなく、「電機業界の企業数が多いのは客観的事実。官主導で再編が起こるとは思わないが、各々の事業がグローバルトップレベルになるといくつかの解が模索される。(業界再編の)現実味はあると私は信じている」と踏み込んだ。携帯電話端末事業といった小規模事業ではなく、一定規模での業界再編に踏み切る強い意志はあると考えていいのかとの問いに「いいですよ」と答えた。

日立は昨年末に公募増資などで約3500億円を調達したが、10年3月期末の株主資本比率は13%前後と依然として低水準にとどまる。「グローバルに見てまだまだ満足できるレベルにない。今後は基本的に(公募増資などではなく)利益の積み上げで財務基盤の強化を図る」と明言した。

会見全般を通じて、中西社長の歯切れの良さが目立った。調整型の日本企業の代表的存在である日立はこれまで、経営のスピード感が欠如していた。が、「あの日立が変わるかもしれない」という期待を感じる。

(山田 雄大)


《東洋経済・最新業績予想》
(百万円)    売 上  営業利益 経常利益  当期利益
◎本2009.03  10,000,369 127,146 -289,871 -787,337
◎本2010.03予 8,700,000 135,000 -45,000 -210,000
◎本2011.03予 9,200,000 230,000 160,000 80,000
◎中2009.09  4,124,958 -24,760 -110,139 -133,221
◎中2010.09予 4,300,000 60,000 30,000 10,000
-----------------------------------------------------------
         1株益¥ 1株配¥
◎本2009.03  -236.9 3 
◎本2010.03予 -46.9 0 
◎本2011.03予 17.9 0-3 
◎中2009.09  -40.1 0 
◎中2010.09予 2.2 0 
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