今度こそ「さっさと」仕事を終わらせる技術 結果を出すためにも、効率仕事力

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処理する仕事の優先順位は「1日以内」「数日中」「1週間以内」で分ける。仕事がクリアになるから、予定がつまっていない日はきっぱり帰れる。予定表の「グーグルカレンダー」や、複数のパソコンでデータを共有できる「グーグルドライブ」も使う。

グーグルの坂本さん

「グーグルドライブに『仕事の痕跡』を残せば、メンバーはいつでも参考にできるし、みんなの『集合知』にアクセスできるから、思考を時短できます」

多数のビジネス書を書いてきた作家の戸田覚さんは、

「情報のリサーチは、初速が大事なんです」

たとえば、ネット検索だ。最初の30分で見つかる情報は、その後の30分で見つける情報よりも量が多く、価値が高い。作業時間をやみくもにかければよい、というわけではない。かかる時間に対する成果が落ちることもある。

会議の「仕分け」悩む場にしない

月曜の午前10時。「はてなブックマーク」などのネットサービスで知られるIT企業「はてな」東京オフィスに、社員が出勤してくる。出勤後に、彼らが向かうのは、デスク脇の共用スペースだ。

彼らは、立ったままテレビモニターの前に。モニターの上には、ネット回線に接続されたカメラ。画面に京都本社のスタッフたちが映し出された。

「はてな」の立ち会議

「本日の朝会を始めます」

はてなは、会議時間を短縮するため、「立ったまま会議」を続けてきた。朝の会議に30分、1時間をかける会社も珍しくないなか、全体会議は最短で5分、チーム別も5分という早業で、前営業日の仕事内容や新機能に関する報告などを発表していく。

京都本社のスタッフはこう言った。

「立ったままだから、5分でも長く感じる。会議をスピーディーに終えるためにはいい」

広報の山田聖裕さん(32)によれば、「全体連絡はオンラインでも済む。それでも、毎朝顔をつきあわせて一体感を得るという意味で、朝会の意義は大きい」という。

藤屋マネジメント研究所の藤屋伸二さんは、「仕事からではなく、時間からスタートする」という、経営学者ピーター・ドラッカーの言葉を引用する。

「年収700万円の人なら時給は3500円。10人集まって1時間の会議をやったら、3万5千円にもなる。コスト意識を持つことは、損ではない」

不要なコストをカットし、もっと生産性を上げられないか。必要な会議と、不要なそれを分けるものは、「何を」「どの程度まで決定し」「いつまでに」「どう達成するか」だ。

「会議の場で問題解決を求めて、延々と悩むケースがあります。会議は問題解決のために『意見を述べる場』であっても、『悩む場』ではない」だから、「事前に意見を準備する」ことが大事で、解決しなければ「次回に回す」「他の人の知恵を借りる」などの判断をスパッとできるようにしたい。

手間のかかる仕事がある。そのときに、どれだけの時間を残しておけるか。会議の「仕分け」が試される。

(ライター:岡本俊浩)

※AERA 2014年6月30日号

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