働かないオジサンになる人、ならない人 人事のプロが教える、3つの分岐点

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働かないオジサンを生み出す構造的な原因

本題に入る前に、この連載で述べた働かないオジサンになる構造的な3つの原因について、簡単におさらいをしておきたい。

ひとつは、会社のピラミッド型の組織構造である(連載第4回「『就活』が、働かないオジサンを生む!?」参照)。仕事に懸命に取り組もうと思っても、組織の構造はピラミッド型になっているので、多くの社員が、いずれ中軸の仕事から外れざるをえなくなる。また昨今の組織のスリム化やポスト削減によって、管理職に就けない社員も増えている。中軸の仕事から外れたオジサンは、往々にして働く意欲を失いやすい

2つ目は、サラリーマンは、社会的な要請と直接インターフェイスを持っていないことである(連載第10回「働かないオジサンの定年後は、寂しい」参照)。個人事業主と違って、サラリーマンは会社を通して、社会的な要請(顧客など)に間接的に接しているので、どうしても働く実感を得にくい。社内の仕事は分業制であり、どんな仕事をするかは配属によって決められる。社内の仕事で働く実感を得られる人は、極めて幸運だと言えそうだ。

3つ目は、20歳過ぎから60歳までの会社人生を、一気に走り切ることは難しいということだ(連載第6回「『働かないオジサン』がいない会社の工夫」参照)。年齢を経る中で、求められる通過儀礼も異なる。40歳までの前半戦の通過儀礼は、組織の中で一緒に働く仲間や顧客に役立つ自分を、どう作り上げていくかということだ。一方、40歳以降の後半戦の通過儀礼は、老いることや死ぬことを意識して、どのような働き方をするのかという難題である。働かないオジサンは、この後半戦の通過儀礼でつまづいている人が少なくない。

これらの原因は、すべての人に平等に訪れる。それでも、働かないオジサンになってしまう人もいれば、意欲を失わずに働き続けられる人もいる。両者を分ける要因は、いったい何なのだろうか。人が働かないオジサンになるかならないかの分岐点として、以下の3つが考えられる。

1.仕事を面白くするために工夫しているか

サッカーの三浦知良選手が、新聞のコラムで、ラスベガスで出会った荷物を運ぶホテルのポーターを紹介していた。単調と思われるポーターの仕事だが、その彼は、クルクル踊りながらキャリケースをはじき飛ばし、ムーンウオークで滑り寄っては、ピピピと笛を鳴らして車を誘導する。マイケル・ジャクソンそのものだったという。三浦氏は、こういう姿勢が大事で、周囲も楽しませていると評価している。

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