「多忙な上司」の機嫌を損ねず時間をもらうコツ 自分都合はNG、所要時間と要件を最初に伝える

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あなたはここで、少なくとも3つの失敗を犯しています。

第1に、あなたの都合で、上司の時間を押さえようとしたことです。これがもっとも大きな失敗です。

ビジネスではクライアント優先で対応を求められることが多くなります。ましてや上司はクレーム対応で忙しく、相手に合わせた対応をとらざるを得ない状況で余裕がありません。

実際、明日の予定もわからず、場合によっては突然、クライアントから呼び出しがあり、即座に応じなければいけない可能性も考えられます。そのため、簡単にはほかの予定を入れられない状況です。そこへ、あなたが一方的に時間を予約しようとしたのですから、上司が怒るのは当然です。

第2に、どれくらいの時間が必要なのかがわからないことです。
相談は5分で終わるのか、30分以上かかりそうなのか、この話し方では上司は判断ができません。

この場合、時間を指定するのは、ある程度の時間を割いてほしいという意味だと受け取ったため、上司は拒否反応を示したのです。

第3に、そもそも要件が何かわからないことです。

いきなり「明日、時間がありますか?」と部下に聞かれたら、上司は「ひょっとして退職を考えているのか?」「私生活で困った問題でも抱えているのか?」などと身構えてしまいます。

多忙なときは、1人でも欠員が出ると業務に支障が出るため、そうしたやっかいな問題は先伸ばししようとして、けんもほろろな対応をしたのかもしれません。

せめて最初に仕事の相談であることを伝えなければ、上司に余計な心労を与えることになります。

「要件は何か」「何分かかるのか」を同時に伝える

では、どのように話しかければよかったのでしょうか。

一番いいのは、「課長、〇〇の件で、いま5分だけお時間をいただけないでしょうか?」と話しかけることです。

「要件は何か?(→○○の件)」「何分かかるのか?(→5分)」を最初に伝えることで、上司も「その件か。手短に報告してくれるのなら、いいよ」と、その場で耳を傾けてくれたかもしれません。

あるいは、「いま、急がしいので30分後にしてくれ」「とりあえず、デスクに企画書を置いておいてくれ」などと、上司のほうから代案を示してくれたかもしれません。

次ページ「5分だけ」はあくまで方便
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