生涯ゴルフに付き合える!?

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キャスター/小倉智昭

 私の出番も最後になった。支離滅裂なゴルフ論にお付き合いいただき、本当に有り難い。

この3年間でゴルフへの考え方が大きく変わった。60歳を境とする体力の衰えはいかんともしがたく、今になってメタボ対策をおろそかにしたことを後悔している。ドライバーの飛距離で20ヤードのマイナス。アイアンでも一番手落ちた。
 道具はよくなっても、体は中古からヴィンテージへと劣化中だ。
 バンクーバー五輪でIOC委員の猪谷千春氏に会った。コルチナ・ダンペッツォのスラローム銀メダリストである。79歳とご高齢だが小柄ながらも褐色の肌と、ひきしまった肉体、「ドライバーは250ヤードしか飛ばなくなりました」という言葉を聞かされ、ただただあぜん。日頃、トレーニングを続けていらっしゃるとか。ゴルフ以外で歩くことが少なくなった私は耳が痛かった。

1週間に3回の練習と最低でも2ラウンドを13年継続していたのだが、今は練習は1回、コースは2週に1度ペースだ。脊椎管狭窄症になって、足がしびれるようになった影響は大きく、カートでなければ18番ホールまでもたない。当然、歩きが原則の競技会への出場が無理になり、ゴルフへの情熱が薄れてきた。痛みがひどいとブロック注射を打ってもらうが、これがまたズーンとなる痛みを伴い、ゴルフはやらずにおとなしくしていようと思う。特に、オリンピックなどの長期取材が控える場合は、1カ月も前からクラブを握らなくなる。

そんなこともあって、何とかハンディを維持しようと、クラブやボールに頼ることが多くなった。試合に出ずに、遊びのラウンドのスコアだけを提供しているため、ハンディもいい加減になり、数字だけを保っている。難関のホームコースから足は遠のき、70台の出やすいフラットなゴルフ場ばかり。目標のシニア選手権も準優勝が最高で終わりそうだ。
 ささくれ立つ軟らかいボールが不経済とわかっても、スピンのかかるほうを選んでいたのに、弾道が低く、飛ぶボールとなった。色は白以外邪道とうるさかったが、目が悪くなったため、黄色等の色つきを平気で使う。クラブも、マッスルバックや重いスチールシャフトはとうの昔にお蔵入り。軽くて、飛ぶほうへとシフトしている。そのうちキャディバッグの中は、大嫌いなブレードの厚いアイアンに変わってしまうのかと思うと悲しくなる。
 ゴルフ場までの車の運転も少しずつきつくなった。特に帰りは、手や足がつることがあり、その度に休憩をとる。かといって、休みの日までマネージャーに頼むわけにもいかず、これまた、ゴルフが遠くなる要因になる。温泉にでも泊まって、近くのゴルフ場へ。バッグは宅配便で自宅に送り、電車で帰る、なんていう日が来るのだろうか。

そうまでしてゴルフをやる必要があるのかと、自問してしまうのだ。(小倉氏の連載は今回が最終回です)

キャスター/小倉智昭(おぐら・ともあき)
1947年秋田県生まれ。東京12チャンネル(現テレビ東京)アナウンサー出身。76年フリーに。現在は『とくダネ!』(フジテレビ系)や『嵐の宿題くん』(NTV系)、『小倉智昭のラジオサーキット』(ニッポン放送)の司会を務めるなど、幅広く活躍中。
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