尾崎元規・花王社長--機能性食品からの撤退はない、できれば食用油で再出発

尾崎元規・花王社長--機能性食品からの撤退はない、できれば食用油で再出発

消費不況の中、デフレ傾向に回復の兆しは見えない。花王も化粧品事業で苦戦を強いられ、主力の日用品では低価格志向が鮮明となっている。そして2009年9月には、食用油「エコナ」が発がん性の疑いで販売自粛となった。特定保健用食品(トクホ)の認定を受けた人気商品だっただけに、衝撃は大きかった。“花王復権”への戦略を尾崎元規社長に聞いた。

--エコナ問題から得た教訓は。

食の安全と安心の問題を、消費者に理解していただく難しさを痛感しました。安全はある程度、科学的な説明ができますが、安心は消費者によって認識が異なります。だからこそ消費者、消費者団体、マスコミ、行政など、さまざまな相手と日頃から食の安心について、議論しておくことの必要性を感じましたね。

--エコナは以前から発がん性を指摘されてきました。発がん性に関する御社の見解はいかがですか。

エコナの発がん性に関する問題は二つあります。一つは主成分ジアシルグリセロール(DAG)について。DAGは体に脂肪がつきにくい特性があるが、発がん物質を促進する疑いを何年も前から指摘されていたので、念のため検査を重ねてきました。世界標準で最も厳しい検査です。それをクリアしたのだから、エコナの安全性に問題はありません。その認識は今でも同じです。

ただ、その説明が難しかった。専門家の方ならまだしも、一般の方には試験法について説明しても遠い話のようになってしまった。

もう一つはグリシドール脂肪酸エステル(GE)。これは、昨年初めて脱臭工程でその成分の組成が発覚した、いわば後発事象です。

確かに普通の油よりも多く入っていましたが、成分自体は発がん物質ではない。世界的に知見はなく、いまだにそれが原因でがんを発症したという事例もありません。しかし、体内で発がん性に変わる可能性がある。つまり、本当に危険性がないのか、と聞かれれば、未知な領域でもあり合理的な説明が難しいのです。

危険性ゼロと説明し切れない食品は、ほかにもあります。ドイツではGEに類似する複合物は、徐々に減らしていくべきで、即やめるものではないという見解も出ています。そのような見解にわれわれは不勉強でしたし、日本の社会も認識がまったくなかった。最近は、ヨーロッパから情報が入ってきて、お互い冷静に考えられるようになってきた。すぐにどうこうする必要はないのではないか、という意見も出ています。

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