コロナ自粛で「無駄買い」しない人の賢い発想 昨年の自粛時をデータで冷静に振り返ってみる

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まず、一斉休校や東京都知事からの外出自粛要請が出された3月。対前年同月比(実質)で、トイレットペーパーが26.4%、ウエットティッシュを含む家事用消耗品が46.5%と、一気に購入支出が増えている。

食品のほうは、著しく増えているのがパスタ44.4%、即席麺30.6%(それとは別にカップ麺が15.7%)、冷凍食品22.2%、米15.3%といったところ。空っぽになった棚を思い出すと、さもありなんである。

緊急事態宣言期間となった4月はどうか。パスタはさらに増えて70.5%、即席麺43.3%(カップ麺14.0%)、冷凍食品19.0%、米11.8%という数字だ。ところが、この4月調査にはトイレットペーパー増加率の報告がない。つまり、3月に一気に買われたとはいえ、4月になると平常どおりの購入額に戻ったということを示す。

あれほど品薄だった記憶だけは鮮明なのに、買いだめに皆が殺到していたのはたったひと月だったのか。家計調査の対象は全国のため地域差もあるだろうが、滞りなく供給されるように体制さえ整えば買いだめの必要はないのだ。それでも不安だというなら、ひと月分のストックを目安に確保しておけばいいともいえる。

ステイホーム週間となったGWから5月中の数字はどうだろう。休校やリモートワークのランチ需要と思われるパスタや即席麺は、依然として前年同月比で3割を超えて買われている。

さらにこの時期からブームとなったリモート飲みの影響か、カクテル・チューハイの売れ行きが5割を超えた。しかし、米やカップ麺は数字の報告が消えてしまったので、買いだめ品目でなくなったのか、それとも十分なストックが家庭に滞留したのかもしれない。

6月になると、パスタや即席麺も1割前後まで落ち着く。最新の調査である11月には、項目からパスタの数字自体が消えており、「店に行けば普通に買える」状態で大量買いの必要はなくなったのだろう。

「コロナの巣ごもり需要で買われたもの」という観点で言えば、前回はトイレットペーパーはひと月で、パスタやカップ麺、即席麺は3カ少々で、狂乱的な買われ方は落ち着いた。

この経験をもとにすれば保存食類は3カ月分の備蓄があれば安心かもしれないが、さすがに流通側もすでに巣ごもり需要への体制を整えているだろうし、そこまでの必要はないだろう。それでも確実に備蓄したいのなら、指定した商品を定期的に届けてくれるネット通販の定期購入便を利用するのもひとつだろう。

まとめ買いしつつコロナ支援もできる方法も

極端な買いだめは不要とはいえ、感染拡大が収まらない今なるべく外出機会を減らしたいと考えれば、一定のまとめ買いは必要だろう。

必ず消費するものを安く買う目的で筆者が利用するのは正月に売り出す「食品福袋」だ。福袋というより実際には詰め合わせに近いが、バラバラに買うよりはお得でもある。

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