カゴメの野菜飲料が在宅勤務の人に選ばれる訳 栄養摂取に加え、安心・手軽でも支持集める

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そもそも、野菜飲料はどんな理由で飲まれるのだろうか。

「飲む理由としては、『おいしいから』『健康に良さそうだから』の大きく2つがあります。毎日続けて飲んでいただくためには、『おいしさ』はとても重要であり、商品開発時には試作を繰り返して味づくりをしています」

こう話す西田氏自身、「もともとニンジンが嫌いだった」と明かす。「それが『野菜生活100』を初めて飲んだ時に、こんなにおいしい野菜飲料があったのか」と驚いたという。

競合他社も工夫を凝らした野菜飲料を打ち出し、飲料全体では味や種類も豊富だ。

「そうですね。多種多様な飲料が店頭に並ぶ中、野菜飲料が選ばれ、続けて飲んでいただくには、『おいしさ』だけでなく、『飲む理由』が重要だと考えています。そのために、野菜飲料ならではの価値の発信も継続して行っているところです。

商品パッケージに機能性を表示した「カゴメトマトジュース」(写真:カゴメ)

カゴメトマトジュースは2016年に『機能性表示食品』としてリニューアルしました。機能性価値を付与したことで、消費者が納得し、継続飲用者が拡大しています。

一方で、ヘビーユーザーでもコクや香りに不満がみられたため、2020年秋に約3年をかけて原料製法を見直したリニューアルを実施し、味覚評価の向上を図っています」(同)

例えばサントリー食品の「GREEN DA・KA・RAすっきりしたトマト」(自動販売機限定)の特徴は「飲みやすさ」だ。ドロっとした飲み心地が好きな人、ごくごく飲める味が好きな人、など好みはさまざま。トマトジュースはヘビーユーザーに支えられる一面もある。

「消費者の声を聞く」のは基本だが、「その声の、どこに耳を傾けるか」だといえよう。

「野菜飲料市場」は伸び悩む

実は近年、野菜飲料市場は伸び悩み、市場全体では減少傾向だ。下記の図表では2014年からの数字を示したが、主要の3分野のうちトマトジュース以外は伸びていない。

(外部配信先では図表を全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください)

少し引いた視点で紹介しよう。

国内飲料市場はコーヒや茶系、炭酸飲料などもあり、全体で約5兆円という巨大市場だ。

そのうち「無糖飲料製品」構成比は「2018年は約49%」(全国清涼飲料連合会調べ)と、半数が無糖になった。カテゴリー別では、無糖の炭酸水が驚異的な伸びを示し、2018年までの10年で13倍に拡大した。むぎ茶飲料の伸びも目立ち、緑茶飲料も手堅い。調査データが異なるが、緑茶飲料は2018年で約4450億円(伊藤園調べ)と聞いた。

このように「消費者の健康志向」は飲料市場にも反映されているが、まだまだ野菜飲料は十分に取り込めていないのだ。

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