家が寒い人が知らない「断熱改修」の意外な効果 既存住宅も夏涼しく冬暖かければ健康にも効く

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最初に菅野さんが目をつけたのは、2階の浴室、洗面所、トイレにある「ジャロジー窓」。細長い板ガラスやアクリル板がブラインドのような形で重なり、窓についた取っ手を回すと、その角度が変わる仕組みだが、冬場にはかなり「スース―」した。

当初は内窓を取り付けることを考えたが、取っ手が邪魔になり難しい。そこで、まずはDIY(Do It Yourself、手作り)による断熱改修に挑戦してみることにした。近くのホームセンターでポリカーボネート板を窓のサイズにあわせて切ってもらい、切り口の周囲にモコモコがついている「モヘアテープ」を張り付けて厚さを調整し、はめ込んだ。

つまり、いわゆる「羽目殺し」という開かない窓にしてしまった。天窓と1階トイレにも設置し、閉じたままの窓9カ所ができた。昨年は5月には、取り外した。11月から2月までの冬場には密閉状態になってしまうが、換気扇を回して対応し、「カビも出ないし、問題ない」という。材料費は、総計で約1万5000円。窓の表面温度を測ったところ、ポリカーボネート板を取り付ける前と後で5度近くも違った。浴室の寒さもぐっと和らいだ。

トイレのジャロジー窓、左がDIY改修前、右が改修後(写真:菅野千文さん提供)

床下断熱はじめ本格改修は、工務店に依頼

まずはDIYで窓の改修に取り組んだ菅野さんだが、続いて工務店に頼み、本格的な断熱改修を行った。冬になると床下からの底冷え感があったため、床下に新たに断熱材を張ってもらった。作業が完了したのは、昨年3月14日。この日は夜には雪が降り、気温は2℃まで冷え込んだ。一方、従来は冬場の寒い日には、床暖房の設定を10段階の「4~5」にしてきたが(数が多いほど強い)、この日は「2」で大丈夫だったという。

このほか、5カ所の窓に内窓を設置し、玄関と勝手口のドアも断熱タイプのドアに交換。最後に、出窓などには、特種な構造の素材の中に空気が入るスクリーンを設置。外からの冬の冷気、夏の暖気を窓でとどめて室内を守る仕組みで、断熱効果が上がった。

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