株主2名が強制退場、波立つJALの株主総会 経営破綻時の整理解雇をめぐって小波乱

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10時50分ごろからの質疑応答は約1時間半に及んだ。質問に立った株主は13人。航空事故2件、重大インシデント3件が国土交通省の安全委員会で調査中になっていることや、整備ミスが相次いでいることなどから、安全面での姿勢を問う声があった。

JALを取り巻く諸問題に質問が飛んだ(撮影:尾形文繁)

ほかにも、航空業界全体で指摘されるパイロット不足への対応、エアバスから航空機の大量購入を決めた理由、日本でも浸透してきたLCC(格安航空会社)に対するスタンス、政府との関係などについての質問が出た。

JALが2010年1月に経営破綻した際にも株主だったという男性株主が、「ある日突然、紙切れになったが、どう思っているのか」と強く問いかける場面もあった。

強制退場の一部始終

質問の途中で強制退場させられた男性株主は、JALが破綻の際に一部の従業員を整理解雇したことが裁判に発展していることに触れ、「私はJAL株を買うことで夢を買っている。労働争議があるのはおかしい。都合の悪いことは隠蔽している」などと、興奮した口調でまくし立てていた。最後は議長の制止を振り切って、大声で騒いだことから議事進行の妨げになるという理由で、会場の係員などによって強制的に退場させられた。

JALは会社更生法の適用を申請して破綻した際に、公的支援を受け、その後、V字回復を果たし、今では営業利益率が2ケタ以上という高収益企業に生まれ変わった。その再生過程が異例であるために、さまざまな方面で波紋を呼んできた。株主総会で強制退場者が続出したのは、JALを取り巻く批判や怨嗟、嫉妬などが渦巻いていることを象徴しているようだった。

株主とJAL経営陣の主な質疑応答のやり取りは次ページのとおり。JAL経営陣は議長の植木社長をはじめ、各分野担当の役員が入れ替わり立ち替わり回答したため、回答者を特に記載していない。

次ページどのようなやり取りがあったのか
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