セブン&アイHDとイオンを分析する 2大小売りチェーンは、どこで差がついたのか?

✎ 1〜 ✎ 38 ✎ 39 ✎ 40 ✎ 最新
拡大
縮小

もうひとつは、金融関連事業です。この事業の「外部顧客への営業収益」は、8.4%増の1339億円。セグメント利益は20.0%増の449億円です。これは全体の営業利益の13.2%を占め、コンビニ事業に次ぐ規模です。以前も説明しましたが、金融業は安定的な収益を望めます。大きな収益源となりつつあり、さらに拡大を目指していると考えられます。

セブン&アイの金融事業は、いわゆる「手数料ビジネス」です。セブン銀行のATMから提携している金融機関と取引を行った場合、その金融機関は一回あたり数十円の手数料をセブン銀行に支払わねばなりません。セブン銀行がATMを設置し、お金の管理をやってくれる代わりに、金融機関は一回の利用につき数十円の手数料を支払うという契約になっているのです。

これが、莫大な利益を生むようになりました。セブン銀行のATMは全国で1万9640台(4月30日現在)も設置されており、24時間365日使えますから、利用者が増え続けているのです。

ところが、今度は金融機関がセブン銀行に支払う手数料がどんどん膨らんできました。当然、金融機関は「セブン銀行に手数料を支払うより、自行のATMを利用して欲しい」と考えるようになります。メガバンクはじめ多くの金融機関が、セブン銀行での取引を有料、もしくは無料で利用できる回数に制限を設けるようになったのは、このためです。

その他、スーパーストア事業、百貨店事業、フードサービス事業の業績はほぼ横ばいとなっており、あまり好調とは言えません。セブン&アイは今のところ、コンビニ事業と金融事業が業績を牽引している構図になっているのです。

次ページイオンとセブンの収益構造の違いとは?
関連記事
トピックボードAD
マーケットの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT