テレ朝は「相棒」病?犯罪ドラマ乱立の真相 米国テレビドラマが証明する、知られざる”大金脈”

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「CSI」シリーズは、2000年にラスベガスを舞台としたオリジナルシリーズが始まって、2年後にはマイアミ、4年後にはニューヨークが同時並行で始まり、2012年まで放送し続けました。

このように、犯罪ドラマは一度当たれば、再放送、番販、DVD、スピンオフと、どんどん利益を生んでくれる金の卵となります。そして視聴者が飽きるまで放送し続けて、使い倒すのです。このように1つのドラマをマルチに展開して、利益を最大化することをハリウッドでは「フランチャイズ」と言い、フランチャイズ戦略はどのテレビ局でも制作会社でも、最重要戦略となっています。

米国の制作会社では、常に、次の「NCIS」、次の「CSI」を探せ!、とばかりに、犯罪+超能力、犯罪+心理学、犯罪+ビッグデータなど、ありとあらゆる組み合わせを試して、当たる刑事ドラマのフォーマット開発が進められています。このような状況を考えれば、日本で犯罪ドラマを山ほど制作するというのは正しい戦略だと言えるのではないでしょうか。

今期、いちばん成功したのは「BORDER」?

今期の日本の刑事ドラマの中で、視聴率でも経済性でも、最も成功したのは「BORDER」(テレビ朝日系)だと筆者は見ています。

成功した刑事ドラマのひとつとなった「BORDER」(テレビ朝日HPより)

「BORDER」は、人気作家の金城一紀さんが、小栗旬さん主演という前提で書き下ろした、1話完結の刑事ドラマ。

ある事件によって死者と対話する能力を身につけた主人公の刑事(小栗旬)が、殺された被害者に導かれながら、毎回、事件を解決していくサスペンスドラマです。死者が見えるという突飛な設定で、最初から犯人が分かっているにもかかわらず、展開の早さと犯人を追いつめていく面白さで、回を重ねるごとに視聴率がどんどん上がっていきました。主要人物が一切笑わないのが特徴的です。

「BORDER」は、登場人物は少ないドラマですし、派手な爆破、カーチェイス、何百人というエキストラが登場するシーンなどもありません。にもかかわらず、高視聴率を獲得したのは、ドラマ制作の原点である脚本と設定に労力をかけたからだと思います。その結果、とてもコストパフォーマンスに優れたドラマとなりました。そのため、今後、シーズン2、シーズン3と続編がつくられていくのではと推察しています。

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