サンリオ、「物販」シフトへの真意 ライセンスビジネスはもはや限界なのか

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今回の物販強化は、消費者との接点増やすのが最大の狙いだ。ただ「店舗は闇雲に出すのではない」(山口英雄執行役員)と、低迷期に足かせとなった直営店の拡大には慎重な姿勢を続ける。当面は代理店を通じ、消費者との接点を持つことで、マーケットの実情を認識し、商品提案力を高める方針だ。さっそく欧州各国に専属の営業マンを配置、500を超える代理店とのパイプを強める動きに出ている。

欧州専任の若手役員に使命託す

サンリオが掲げる経営目標は、ROE20%以上の高収益性の維持だ。これは今後も高収益のライセンスビジネスは生命線であり続けることを意味するという。そのライセンスビジネスで先行し、復活の最初の功労者となった欧州の行く末は、会社の将来を占う重要地域だ。辻社長は「ダメになった欧州を手直しするのがもっとも重要なこと」と、アキレス腱の欧州に、ライセンスビジネスの旗振り役である鳩山常務を充てた意義を、そう強調する。

会見上、欧州責任者の鳩山常務は「欧州は今期の後半には下げ止まる」と述べた。ライセンスに比べ、採算性で劣る物販の強化で、欧州のライセンスビジネスの立て直しが果たせるか。サンリオの事業構造転換は、欧州改革の成長にかかっている。

(撮影:今井康ー)

鈴木 良英 東洋経済 記者

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すずき よしひで / Yoshihide Suzuki

『週刊東洋経済』編集部記者

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