ソニー復活? 3つの挑戦--知られざるビジネス変革[上]

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 このサービスで、テレビを中心とした複数の機器間で映画などの映像コンテンツが自由にやり取りできるようになる。パソコンとiPodの連携を高めたアップルのiTunesを思い起こさせる仕掛けで、成功すればアップル同様、ユーザーのロイヤルティ向上にもつなげられる。「ソニープロモーターと呼ぶのがふさわしい」(ファスロ上級副社長)。

3Dビジネスの広がりは、コンシューマー製品にとどまらない。映画など「B2B」と呼ばれるビジネスでも存在感を増している。

「機器販売メーカーにとどまらず、サービス事業者としての新しい存在を目指す」。ソニーエレクトロニクスの大西俊彦上級副社長がそう表現するのは、映画館用機材をめぐるビジネスだ。

全米の映画館では今、ソニーの高解像度デジタルプロジェクター(4Kプロジェクター)が続々とリースや販売で導入されている。競合他社の2Kプロジェクターよりも3D映画の上映に適しているが、価格は1台1500万円。金融危機後の資金調達難もあり映画館にはハードルが高い。

ここでソニーは、VPF(バーチャル・プリント・フィー、仮想複製費用)という資金支援のスキームを活用。自社でVPFを管理する事業者となり、映画館の低コストなデジタル化を支援している(右ページの図を参照)。今後3年程度で、ソニーは全米のスクリーンの半分に自社の4Kプロジェクターを導入する計画だ。

映画館のデジタル化が進めば、ソニー・ピクチャーズなどの3D映画が多数上映できる。さらに、音楽やゲームといったコンテンツソフトの配給、非接触カード「フェリカ」やデジタルサイネージを使った広告・マーケティングビジネスを展開することも可能だ。

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