日経平均2万円を狙う?安倍政権 キーワードは、3つの「G」

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日本版スチュワードシップ・コードの「静かな衝撃」

GPIFほど注目度が高くないが、企業にガバナンスに機関投資家がかかわる「日本版スチュワードシップ・コード」(詳細は金融庁のホームページ参照)も、よく見ると、なかなか面白い。

同コードは、運用会社及び年金基金のような資金のスポンサー側の両方の「機関投資家」が、投資先企業との「対話」と「議決権行使」を通じて、個々の企業の「持続的成長」に関わる責任(年金加入者等のお金の出し手に対して)を果たすことの宣言であり、7つの原則よりなる。

運用会社は、商売上受け入れが必要だし、公的年金も含めて年金スポンサーも外聞上受け入れる方が格好良いので、日本の主立った機関投資家は、雪崩を打って受け入れ表明に動くだろう。投資先企業が「馬」だとすると、経営者は「騎手」のようなもので、馬や騎手を選ぶ「調教師」に当たるのが運用会社だ。運用会社に資金を任せている例えばGPIFのような年金スポンサーは、「共同馬主クラブ」のような馬主に相当すると考えると良かろう。

投資家はROE、自社株買い、社外取締役の3つに注目

今回、日本版スチュワードシップ・コードは次のようなプロセスを奨励する。調教師と共同馬主クラブは、馬の長期的な稼ぎ(「成長」とは、そういうことだろう)を意識しつつ、1レース1レースの馬の走らせ方について、騎手の騎乗に積極的に口を出し、騎手の採否も含めてそのプロセスについて、会員馬主に対して責任を持つ、といった案配だ。

騎手(経営者)としては、騎乗(経営)への口出しが増えるし、乗り替わりで降ろされる心配も増えることになるので、より神経を使うことになる。真剣に乗るようになるので、悪いとはいえないが、それで急に騎乗がうまくなったり、馬が強くなったりするわけではあるまい。

ただし、今後、機関投資家から経営者への口出しは増えるし、口出ししたアリバイ作りも必要になる。経営者の側から傾向と対策を考えると、「ROE(自己資本利益率)」、「自社株買い」、「社外取締役」の3つに“前向き”であることを示すと、運用会社もスポンサーも当面顔が立つことになろう。これらは、株式市場でも注目されるポイントになるだろう。

競馬で言うなら、ROEは「ラップのバランス」(単なる比率です)、自社株買いは「ゴール前の腕力」(最後だけ辻つまを合わせようとする努力なので)、社外取締役は「外国人騎手の代打採用」(負けても納得!)というくらいのものだろうが、競馬ファンの投資家はほどほどに銘柄選択の参考にされたい。投資家諸氏(大多数は「一口馬主」に近い)は、これら3点に関する「変化」(投資で大事なのは「現状の水準」ではなく「変化」だ)に注目するといい。

次ページさて競馬。サラリーマン社会にたとえた見事な予想をぜひ!
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