秋田新幹線、初代「こまち」E3系が遺したもの 定期列車運行は終わったが臨時列車の可能性も

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1995年に量産先行車(試作車)が登場、秋田新幹線開業に間に合わせるべく翌年から量産化がはじまったが、量産車では前照灯の形が変わったほか、架線の違いで新幹線と在来線と使い分けていたパンタグラフは、下枠交差形をやめてシングルアーム式とすることで使い分けをやめ、量産先行車もシングルアーム式に交換されている。

山形新幹線用のE3系(写真:tarousite / PIXTA)

E3系は秋田新幹線用のみならず、後に山形新幹線用も登場したのだが、JR東日本の部内やコアなファンの間では秋田新幹線用をR編成、山形新幹線用をL編成と呼び分けられている。

R編成は当初5両編成だったが、利用者の増加に対応して1998年には中間車を追加、6両編成となっているほか、増備車では当初から6両編成で登場して2005年まで作られた。

L編成は山形新幹線が新庄まで延伸された1999年に登場、こちらは7両編成となるなど、仕様が異なるのでE3系1000番代とも呼ばれている。さらに2008年からは初代の山形新幹線つばさで使用された400系を置き換えるべく、改良形のE3系2000番代が登場した。それまで、新在直通用の車両では、普通車の指定席と自由席で座席の間隔に差を付け、自由席の座席間隔を狭くした分、座席を増やして定員を稼いでいたが、E3系2000番代では指定席の座席間隔に統一して差をつけるのをやめている。また、E3系2000番代では前照灯の形を変え、ライトの上側に丸みを持たせたことが外観の特徴だ。

「とれいゆ つばさ」と「現美新幹線」に変身

現在こまちで使用されているE6系の登場により、E3系のR編成は大半が廃車されたのだが、2002年以降に製造された車両は一部を除いて残された。E6系は24本作られた一方、置き換えを開始する前のE3系R編成は26本あり、差分の2本は残す必要があった。

「とれいゆ つばさ」として走るE3系(写真:やえざくら / PIXTA)
現美新幹線のE3系(写真:村上暁彦 / PIXTA)

このほか、新幹線を観光用車両に改造する試みが実践され、2014年には山形新幹線の足湯列車「とれいゆ つばさ」(R18編成)が、2016年には上越新幹線で「走る美術館」の「現美新幹線」(R19編成)が登場したが、これらの観光列車は元こまちの車両を有効活用したものでもある。

さらに、山形新幹線用のL編成に改造したものもあり、6両編成を7両編成に改修する必要があって、6両編成4本から7両編成2本に改め、余った車両は廃車にしている。編成の番号ではL54編成とL55編成が元こまちの車両で、山形新幹線用の増備車L53編成やR編成とともに、ライトの下側に丸みを持つ姿に特徴がある。

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