E3で見せた、ソニーPS4完勝のシナリオ 前世代で躍進したマイクロソフトは苦戦

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ソニー向けに多くのサードパーティ-がタイトルを発表した

これは新たにソニーコンピュータエンターテインメントアメリカの社長兼CEOに就任したショーン・レーデン氏が挙げた次の数字からもわかる。2013年末に発売されたPS4は、全ユーザーの95%がインターネットに接続され、のべ12億5000万時間、10億回もネットワーク対戦が行われたという。ゲーム画面、動画の共有も2億2000万回に及んだ。何より新社長のレーデン氏は、もともとソニー・ネットワークエンタテインメントの上席副社長兼最高執行責任者。ソニーがネットワークを通じたゲーム体験を重視している証左でもある。

一度、強く結束し始めたネットワークゲームのコミュニティは、なかなか手強い。もちろん、ゲームの世界は面白いタイトルひとつで状況を好転させることが可能だが、ソニーへの傾き始めた流れをゲームタイトルの開発企業は敏感に察知するものだ。

マイクロソフトは母国市場でも苦戦

これまで地元ということでXboxが強みを発揮してきた北米市場でも、Xbox Oneは苦戦している。北米におけるPS4の販売数は375万台だが、Xbox Oneは316万台。当初は互角だったが、徐々にPS4に傾いてきている。北米市場と似たタイプのゲームが売れる傾向の強い欧州市場では、PS4が293万台に対してXboxOneが111万台と大きな差がついていることも考慮すれば、ゲームタイトルのパブリッシャーはPS4の優先度を高めるだろう。

ひとつの解決策は、自社開発(ファーストパーティと呼ばれる)ゲームの質と量に投資をすることだが、マイクロソフトはXbox 360が優位に立ったあと、ファーストパーティの数を減らしてきた。その影響は今回のE3でも現れており、特定ゲーム機専用の”独占タイトル”はPS4向けの方が多い。

マイクロソフトは人気ゲームや実力の高いエンジニアに投資を行い、社外のチームが作る新作タイトルを独占したり、既存人気ゲームシリーズに専用ダウンロードコンテンツを用意させるなどの差異化を図ろうとしているが、PS4に対する不利を克服するほどの効果は得られていない。

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