韓国「BTS」が世界で桁外れの人気を得られた訳 K-POPの海外戦略から考えるマーケティング

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2020年8月にリリースされた「Dynamite」は、Spotifyにてリリース日に1260万回の再生を記録、初日再生数でSpotify史上最大のヒットとなりました。US iTunesでも1位を獲得、Billboard Hot 100でもBTSとして初めて1位を獲得し、9週連続でトップ10入り。10月末時点でSpotifyで3.4億回の再生。YouTubeのMVは現在7億回超の再生数です。

2019年リリースの「Boy with Luv」も10億回再生を突破していますが、この曲と比較しても圧倒的に早いペースで再生数が伸びたことは、BTSの人気がこの曲を契機にさらに拡大していることを示していると言えます。

2019年のグラミー賞や2020年の「America’s Got Talent」でパフォーマンスを行ったり、人気が無ければ呼ばれない情報番組、トーク番組で数多く露出をしていることもあり、一部の層だけでの認知ではなく、いわゆるパパもママも知っているという全世代的な認知をアメリカにおいても獲得しつつあると言える状況です。

YouTube、Spotify等での全世界的な再生回数の大きさということを考えると、オンライン時代に最も成功した世界的アーティストの1事例になっています。

海外市場で勝てるビジネスとクリエイティブ戦略

BTSに代表されるK-POPの躍進は、一朝一夕で実現したものではないと私は考えています。最初に述べたように、海外(アジア・日本・北米)で戦うことを前提としたビジネスとして挑戦が続いてきた歴史とその経緯や成果の積み重ねがあって、現在のBTSやBLACKPINKの桁外れの成功につながっているのです。

アーティストだけでなく、海外市場で戦い、勝てるビジネス(マーケティング・法務・ファイナンス)やクリエイティブ(楽曲やパフォーマンス)を担当するプロダクションとプロデューサー陣(と支える数多くの優秀なスタッフ)の競争や協力により、K-POPジャンルとしての質と量が担保され、今の成功につながったと感じます。

K-POPとしては、SM Entertainmentの創成期に誕生した1999年のH.O.T.やBOAが海外進出の橋頭保をつくり、2000年代に入ってからは、Super Junior、SHINee、Girls' Generationなどがヒットを飛ばし、NiziUでおなじみのJYP Entertainmentが2005年にデビューさせたWonder Girlsが2009年、北米で「Nobody」という曲でスマッシュヒットを飛ばし、ビルボードHot100入りを果たしました。

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