iPadで出版はどう変わるか--救世主か、あるいは…

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 ハイテク映画祭を主催するシネクエストのプレジデント、キャサリーン・パウエル氏は、iPadへの期待を次のように語る。

「これまでのデジタル端末は画質や滑らかさなどの点で、映画を見るには耐えられなかった。しかし、iPadは映画好きに受け入れられる品質だ。空港、カフェ、機内で映画を見るトレンドが進むだろう。特に短編映画はiPadのようなデジタル端末向けの販売が中心になっていくことも考えられる」

とはいえ、今でもiPhoneやiPodタッチで映画、書籍、雑誌は販売されている。画面サイズ以外の点で、iPadの機能面での目新しさは何か。

それは文書や表計算を作成するソフト「iWork」が入っている点、アイブックスというアプリが組み込まれ、書籍専門店のアイブックストア(iBS)で書籍を買える点だ。

iBSの特徴は、書棚から本を手に取り、手元でページをめくるときの自然な感覚にある。これまでにないユーザーインターフェースがウリだ。

米国では、当初からハシェット、ハーパー・コリンズ、マクミラン、ペンギン、サイモン&シュスターなどの大手出版が、iBS経由で書籍を販売することを約束している。

iBSで販売される書籍の売り上げの取り分は、アップストアにおけるソフト販売と同じで、提供元70%に対しアップル30%という割合である。

出版社のうち、デジタル化で最先端を進んでいる中の一つと評価されているのが、コンデナスト社だ。

20誌近くの雑誌ブランドを擁するコンデナスト社は、技術専門誌『ワイヤード』、男性誌『GQ』、ファッション誌『グラマー』、高級誌『ヴァニティフェア』、文芸誌『ザ・ニューヨーカー』の5誌をiPad向けに販売する計画を明らかにしている。

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