キャデラックの最高峰SUVが新型で見せる世界 じわじわ増えるプレミアム3列シートSUVの価値

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多人数乗車のクルマといえば、日本ではミニバンというのが常識だ。しかし、欧米では3列SUVを利用するほうが多い。その理由はいくつかある。もっとも大きな理由は「ボックスタイプのミニバンは、商用車のように見える」ということだ。

昭和のころの日本にも、そうした見方があった。しかし、日本は平成を通じてミニバンの人気が高まり、今ではすっかり「ボックスタイプ=商用車」という考えは少数派になっている。背の高い、ハイトワゴンと呼ばれる軽自動車のヒットも、そうした見方の変化に強い影響を与えただろう。

マイナーチェンジでさらに注目されるホンダ「N-BOX」(写真:ホンダ)

しかし、欧米ではミニバンブームもハイトワゴンブームもない。そういう背景で、しかも高級車となれば、ミニバンではなく3列シートSUVを選ぶのも当然のことだろう。

また、3列シートSUVには、「走行性能の高さ」という大きなメリットがある。箱型のミニバンよりもSUVのほうが車体剛性を高くしやすく、重心も低くできる。また、SUVはもともとオフロード4WDから派生したクルマでタイヤも大きいから、悪路走破性も高い。

未舗装路だけでなく、雪道を走ることが多いのであれば、ミニバンよりもSUVのほうがおすすめとなる。舗装路であろうとも未舗装路であろうとも、走りの面ではミニバンよりもSUVのほうが有利なのだ。細かいことをいえば、ミニバンに備わるスライドドアは重量があるため、運動性能だけでなく燃費性能も不利となる。

3列目がゆったり座れるのはLクラスだけ

ミニバンがSUVに勝るのは“室内空間の広さ”だけといえるが、このメリットを持つのはミニバンだけでもある。SUVで3列目のシートに大人をゆったり座らせるには、それなりのボディの大きさが必要で、ミドルサイズのSUVでは厳しい。

3列目のシートまで、めいっぱい使うのであれば、LサイズのミニバンかSUVがおすすめとなる。ところが、日本のSUVの多くはミドルサイズ以下。LサイズSUVが少数派であることも、日本ではミニバン人気が高くなった理由の1つだろう。

輸入車にはLサイズのSUVが数多く存在している。それは、プレミアムブランドであっても変わらない。数多くの人を乗せつつ、高級感と走行性能、見栄えのよさを求めるのであれば、3列シートを備えた大型SUVは自ずと選択肢に上がってくるだろう。

鈴木 ケンイチ モータージャーナリスト 

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すずき けんいち / Kenichi Suzuki

1966年生まれ。茨城県出身。國學院大学経済学部卒業後、雑誌編集者を経て独立。レース経験あり。年間3~4回の海外モーターショー取材を実施。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。

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