コロナ禍でも黒字確保「コメダ珈琲」のすごみ 赤字転落のスタバになかった「3つの強さ」

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カフェチェーンに限らず外食チェーン全体で前年割れの売り上げが続いているところが多い中、コメダの既存店売上高は9月にプラス1.0%(前年同月比)、10月に1.7%増(同)と、前年を上回る数字までたたき出した。9月発売のサンドイッチ「コメ牛」が大ヒットしたことや、「驚くほど放映費用が安くなっていた」(臼井社長)ことから、同社として初めて全国的にテレビCMを打ったことが効いた。

出店は東京郊外の居酒屋跡地などを物色中

同社は通期の業績予想を売上高276億円(前年同期比11.6%減)、営業利益53.3億円(前年同月比32.3%減)としている。ただ、これは「感染再拡大しても死守できるレベル」(IR担当者)の予想。下半期の既存店売上高をマイナス10%強(前年同月比)と見積もっているが、9~11月の3カ月間はこれを上回って推移している。

『会社四季報』(2021年1集新春号)は12月16日発売。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします。

足元でコロナの感染者数が増加傾向なのは懸念されるが、同社の予想はやや保守的だろう。そのため『会社四季報』2021年1集新春号では、独自に業績予想をしている。

コメダは今後、市場開拓の余地が大きい東京都内での出店を強化していく。東京都下の山手線より外側のエリアで、居酒屋などが撤退して賃料が低下している物件を中心に積極的に出店する構えだ。

コメダのようなフルサービスの喫茶店では、ファミリーレストラン「ガスト」などを運営するすかいらーくホールディングスが「むさしの森珈琲」への業態転換を進めているほか、ドトール・日レスホールディングスも「星乃珈琲店」の出店を加速している。競争は激しさを増しているが、コメダの独自性や強みを脅かす存在はまだ現れていない。

佐々木 亮祐 東洋経済 記者

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ささき りょうすけ / Ryosuke Sasaki

1995年埼玉県生まれ。埼玉県立大宮高校、慶応義塾大学経済学部卒業。卒業論文ではふるさと納税を研究。2018年に入社、外食業界の担当や『会社四季報』編集部、『業界地図』編集部を経て、現在は半導体や電機担当。庶民派の記者を志す。趣味は野球とスピッツ鑑賞。社内の野球部ではキャッチャーを守る。Twitter:@TK_rsasaki

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