ローソン、ドラッグストア機能拡充に本腰 5年前のマツキヨとの業務提携はどうなった?

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2009年に行われたマツモトキヨシホールディングスとローソンの業務提携会見(撮影:風間仁一郎)

双方の関係者の話を総合すると、安さで勝負するドラッグストアと定価が基本のコンビニでは、取り扱う商品の選定や配分で折り合うことが難しかったのが大きな要因だ。たとえば、飲料はドラッグストアでもコンビニでも扱う商品だが、価格をどちらに合わせるのか、といった具合だ。

 その反省を生かし、今後はドラッグストアチェーンと組んで出店する場合でも、仕入はすべてローソンが担うという。新型店500店のうち、約150店は地方のドラッグストアと組んで出店する方針だ。すでに昨年末以降、ミズ(佐賀)や、「ドラッグひかり」を展開する光(京都)といったチェーンと提携し、出店を始めている。今回の”仕切り直し”で新型店が狙いどおりに拡大できるのかが、ひとつのポイントになる。

業務提携で得た果実

さらにローソンは昨年来、「健康」を戦略のコンセプトにしており、低糖質食品の開発や医薬品の取扱店の拡大にも力を入れている。

医薬品はナチュラルローソンでも扱っている。

薬は体調不良の際すぐに使いたい人が多いため、24時間開店し自宅や仕事場のすぐそばに立地するコンビニと非常に相性がいい。高齢化社会で人口が減る一方、コンビニ業界では出店競争が激しくなっている。新たな需要を取り込むため、ファミリーマートなど競合他社も薬の取扱店を増やしている。

 2009年以降、ローソンでは本格的に医薬品の販売に乗り出し、調剤薬局大手のクオールと組んだ調剤薬局併設型コンビニも展開してきた。2018年にはこうした医薬品の取扱店舗を、今回の新型店も含めて3000店まで広げていく。現在の総店舗数は約1万1600店で、医薬品の取扱店は100店ほど。今後は、加速度的にその取扱店を増やしていく。

 医薬品を販売するには「登録販売者」の資格が必要になる。現在、同社で資格を持つ社員は100人程度いるが、これは、「受験に必要な実務経験をマツキヨで積ませてもらえたおかげ」(ローソン広報部)。マツキヨとの一体型店舗の展開は進まなかったものの、業務提携で一定の果実は得られたということだろう。加盟店にはさらに200人ほどの登録販売者がおり、こうした人材をもとに店舗を広げていく考えだ。 

田野 真由佳 東洋経済 記者

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たの まゆか / Mayuka Tano

2009年に大学を卒業後、時事通信社を経て東洋経済新報社に入社。小売りや食品業界を担当し、現在は会社四季報編集部に所属。幼児を育てながら時短勤務中。

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