美容外科の危険で巨大なブラックマーケット 暗躍する美容整形ブローカーにメス!

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美容外科の危険で巨大なブラックマーケット

さて、冒頭で「年間5兆ウォンを超えるともいわれる美容整形市場」と書いたわけだが、実際の数字はその倍とも3倍とも言われている。というのも、届け出をしない美容整形業界のブラックマーケットが非常に大きく、履歴が残らないよう現金ですべてやり取りがなされているのだ。

このアンダーグラウンド市場の片棒を担いでいるのが、美容外科のブローカーの皆さんである。彼女たちは海外からのお客さん(主に中国、日本、ロシアなど)を江南区の美容整形外科(しばしばアンダーグラウンドの整形外科だったりする)に仲介することで、実に手術料の3割からひどいときは5割に上る金額を、韓国国内での通常の手術代に上乗せしてお客に請求しているのだ。

このような“美容整形ブローカー”は自身が取引している数カ所の美容外科しか紹介できないので、必ずしも患者にとって最適の美容外科にたどり着けない。また、ブローカーが高額の仲介手数料を取るため、外国人顧客は結果的に、極端に高額の代金を支払わされてしまっているという。

なにやらこの“美容整形外科ブローカー”がやたらと儲かりそうなので、わが師・グローバルエリートほどにはコラムニストとして大成しそうにない私は、このブローカーにでも転職するか、と思い、誰がそのようなブローカーをやっているのか聞いたところ、美容整形手術を頻繁に受けるキャバクラ嬢や女優が、自分が行った腕のいい美容外科に友人を紹介するような形で、仲介手数料を病院から得るようにして始まったらしい。

そして海外顧客向けの美容整形ブローカーは、アンダーグラウンドの美容外科から高額の仲介手数料をもらい、海外現地で顧客を(特に腕がいいわけでも、現地で評判がいいわけでもない美容外科に)引っ張ってくるという仕組みだ。

美容外科産業の“食べログ”サイトと、旅行業界の連携

私が取材したこのシークレットチャートというサイトは、まだ韓国語だけで随時諸外国語版に展開していく予定らしいのだが、ここでは独自のネットワークを通じて幅広く美容外科医をランキングづけしたり、利用者からの評価を収集することで、整形部位別に評判の高い美容外科を、海外を含めた患者が見て評価できるようなプラットフォームを形成している。これによって、アンダーグラウンド市場でブローカーが高額の手数料を受け取りながら、不適切な医師に患者を紹介している現状を変革し、患者が自分のニーズに最も合った外科医を広範な美容外科ネットワークの中から選べるような仕組みを作るのだという。

また海外から来る顧客は、単に美容外科の予約だけでなく交通手段やホテルの予約も必要なため、これらをワンストップですべて予約できるよう、各国の旅行事業者との提携を進めているのだ。

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