不動産屋の「トラブル」が長年絶えない根本原因 契約や勧誘など苦情や紛争相談が相次いでいる

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そして不動産取引も例外ではない。かつて不動産屋がお客さんについた嘘や騙しや脅迫行為も、不動産取引について素人である受けた側が証明するのは困難を極めていた。そして長年「違法行為でも取り締まられないことならOK」という考え方が残っていたのもこのためだろう。

ここで確認をすれば、プロである不動産業者がお客さんに「将来確実に値上がりする」といった嘘をついて騙したり、脅迫(正確には威迫)することは、以下の宅地建物取引業法にて明確に禁止されている。

【宅地建物取引業法 第四十七条の二】

第1項 宅地建物取引業者又はその代理人、使用人その他の従業者(以下この条において「宅地建物取引業者等」という。)は、宅地建物取引業に係る契約の締結の勧誘をするに際し、宅地建物取引業者の相手方等に対し、利益を生ずることが確実であると誤解させるべき断定的判断を提供する行為をしてはならない。
第2項 宅地建物取引業者等は、宅地建物取引業に係る契約を締結させ、又は宅地建物取引業に係る契約の申込みの撤回若しくは解除を妨げるため、宅地建物取引業者の相手方等を威迫してはならない。

今や素人だったはずのお客も、スマートフォン1つあれば、不動産屋とのやりとりすべてを録音できるようになったし、それにより後に被害を証明しやすくなった。ちなみに法的には、不動産屋とのやり取りを録音する際、相手の承諾はいらない。

記録を常に残しておくとよい

そのため、著者としては不動産屋とのやり取りを始める場合、メールを残しておくことはもちろん、不安であれば、対面でも電話でも、録音アプリを常時起動させておくのをおススメしている。それで記録を都度残していけば、万が一揉めた場合、

・宅建業者を取り締まる行政
・宅建業者の業界団体
・弁護士
・その担当者の上司や社長

この4団体(や人)に相談する上での有力な材料になりうる。またやりとりの記録は、不動産屋側からしても、自身が悪質なお客から身を守る手段になるし、本来は双方へメリットをもたらす。

また、なかなか変わらない制度や法律を待たず、環境が先に変わることで、一部のあくどい不動産屋が生みだした悪いイメージを回復し、善良な仕事をしている不動産屋がきちんと評価される土壌が生まれるはずだ。

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