元売りが価格体系変更、板挟みの系列スタンド 需要が減退する中での仕入れ価格上昇に苦悩

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2008年までの仕切価格は、原油代などのコストを積み上げて月次で改定するのが主流だった。だが、08年の原油価格乱高下の中で仕切価格の改定に大きなタイムラグが生じ、元売りの業績が悪化。消費者にもわかりにくい改定方法になった。

そうした中、新価格体系として08年秋から09年夏にかけて元売りが相次いで導入したのが、スポット価格連動の週決め方式だった。

コスト連動方式は、電力業界の「総括原価方式」に似ている。国内需給とは関係なく、コストを特約店へ転嫁しやすい。実際、先行したコスモの系列特約店の店頭価格は、1~2円などと小幅だが、他系列と価格差が生じたようだ。コスモからSSには、他社が追随するまで1~2カ月、辛抱してほしいとの要請があったといわれる。元売りの中で最も財務の厳しい同社幹部は「今動かねば、うちも特約店も共倒れになる」と見直しの必要性を強調する。

根本原因は供給過多

ガソリン、灯油、軽油など、業界全体の年間販売量を考えると、マージンが1円拡大するだけで元売りの年間利益は1000億円以上増える。足並みをそろえたかのような、元売り各社の価格体系の変更について、「安定供給のためには一定の事業基盤は必要。コストも取れずに経営の継続性が危ぶまれる状況は好ましくない」(資源エネルギー庁石油流通課)と、行政もやむなしとの見方だ。

問題は、末端のSSや消費者への影響だ。低燃費車の増大などの構造的要因で年率2%近く需要が減少する中、ガソリン価格のほうは上昇が続いている。そして今回の仕切体系見直し。系列特約店からは「元売りの一方的な押し付け。仕切価格が上がっても、小売りまで転嫁するのは難しい」との声も聞かれる。

1円、2円の値上げでも系列特約店がなかなか動けないのは、近年激しさを増す商社系・流通系プライベートブランド(PB)など系列外SSとの競合があるためだ。

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