苦難の鉄鋼メーカー、資源メジャーの大幅値上げに抗えず 

拡大
縮小



 足元では鉄鉱石などのスポット価格だけでなく、電炉が使う鉄スクラップ価格も上昇。それを受け、建材用のH形鋼では東京製鉄が年初の6・3万円から7万円に値上げ。新日鉄も鋼材の店売り(一般流通向け)価格を6万円台後半まで引き上げている。

「ひも付き」と呼ばれる自動車メーカーなどの大口契約は、これからが交渉のヤマ場。原料が四半期契約に変更される場合、新日鉄の宗岡正二社長は「マージンを確保する観点から、鋼材もそういう動きになる」と、四半期ごとに価格転嫁していく意向を示す。

しかし、最大ユーザーのトヨタはリコール問題で販売台数が苦戦。需要が急回復する展望がないだけに、厳しい交渉となるのは間違いない。

原料価格の高騰で、鉄鋼業界の10年度は前期比1兆円超のコスト増が見込まれる。デフレ脱却への道筋が見えない中、川下との交渉をどう進めるか。業界には重い負担がのしかかっている。

(山内哲夫 =週刊東洋経済2010年3月27日号)

関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT