サッポロ、「極ZERO」販売終了の波紋 酒税116億円を追加で支払う可能性も

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今年に入ってからも、1月~5月で「極ZERO」は270万ケースを売り上げる好調ぶり。暑さが増すこれから、いっそうの販売増が見込まれていた。そうした中、1カ月の販売休止は痛い。7月からは製造方法を一部見直して、第3のビールではなく発泡酒として再発売する。となると、第3のビールとの税額差分である約20円分(350ミリリットル換算)値上がりするため、販売ペースの失速は免れない。

実際、会社側も7月以降の販売が従来の見通しよりも2割ほど落ちるとみている。ただ、今期の年間計画は当初の550万ケースから変えていない。前半の売れ行きが予想以上に好調だったため、後半の落ち込み分をそれで補えると見ているからだ。

カギ握る検証結果

尾賀社長は会見で、「いろんなことが起こるのが常。変化をいい方に持って行けるよう、前向きにとらえたい」と話したが、株式市場の反応はシビアだった。翌5日、サッポロHDの株価は前日比で6.6%下落、30円安の426円となった。追加の酒税支払いで損失が出る可能性が嫌気されたのだろう。

今のところ、「極ZERO」は”身元不明”のまま。サッポロHDでは「なお検証作業を慎重に進めているところ」と説明する。果たして、酒税法上、何に分類されるのか。その結果次第で、業績には大きな影響が及ぶ。

田嶌 ななみ 東洋経済 記者

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たじま ななみ / Nanami Tajima

2013年、東洋経済入社。食品業界・電機業界の担当記者を経て、2017年10月より東洋経済オンライン編集部所属。

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