東大、外資コンサルを経て、農家になった男 【キャリア相談 特別対談】 塩野誠氏×木村敏晴氏(上)

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 何かにつけ不確実性の高い現代。一生安泰の仕事も、未来永劫つぶれない企業も存在しない。 自分の仕事に明日があるのか――それをつねに考えておかないといけない時代だ。 この連載では、悩めるビジネスパーソンからのキャリア相談を募集。外資系金融、コンサル、ライブドア、企業再生コンサルなどを渡り歩き、数多くの業界やスタートアップに精通する塩野誠・経営共創基盤(IGPI)パートナーに、実践的なアドバイスをしてもらう。
 今回は特別版として、東大法学部卒業後、外資系コンサルティング会社、ワタミを経て、農業の世界に飛び込んだ、木村敏晴氏とのキャリア対談をお届けする。

企業に直接電話してインターンを志望

塩野:今、自分ではレベルが高いと思っている学生が就職先として選ぶのは、総合商社や外資系コンサル、金融ばかりです。もっと学生が働くことの多様性を考えるためにも、外資系コンサルを経て、現在は農業に従事されている木村さんの話を聞かせてください。

木村:いろいろな仕事させてもらいましたが、農業はめちゃめちゃ楽しいですよ。

実は僕は、植物を育てるのは子どもの頃から好きでした。小学生のときは学校の「理科園」に、中高生のときは市民農園を借りて、そこにしょっちゅういた子でした。

塩野:男の子で植物が好きというと、野外で植物を観察するのが好きなタイプと、室内で図鑑を見るのが好きなタイプのどちらかに分かれると思いますが。

木村:野外ですね。育てて食べるほうでした。でも大学生くらいになるとそんなことは忘れて、社会で上に行きたいとか、もっといろんな景色が見たいとか、海外で仕事がしたいなどと思うようになった。それで外資系コンサルティング会社のベイン・アンド・カンパニーに入りました。そこで塩野さんと同期になったわけです。

塩野:大学では何をしてました?

木村:国際交流のサークル、AIESEC(アイセック)に入っていて、「世の中はグローバリゼーションだけど、これからどうなるんだ」なんて、青臭く語っていましたね。

塩野:友達と熱く語る学生だったんですね。国際交流に興味があったのに、総合商社には行かなかったのですか。

木村:最初は行こうと思っていましたよ。実は大学3年の夏、某総合商社の香港支社でインターンをさせてもらいました。

塩野:その頃から大学生向けのインターンがあったのですか?

木村:いえ、自分からお願いしました。

塩野:それは普通の学生より、行動力がありますよ。

木村:ありがとうございます。ぶっちゃけ、当時、香港に彼女がいたっていうのもあるのですが(笑)。

――香港に彼女がいるなんて、カッコいいですね。

塩野:しかし、よく商社がいきなり香港でインターンをさせてくれましたね。

木村:日本商工会議所で電話番号を聞いて、30社ぐらい電話をしました。そうしたら総合商社2社と銀行2社がOKしてくれて、それで商社に。

塩野:軽く言いますけど、ものすごく意識高いじゃないですか(笑)。

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