「夜泣き90秒放置」で乳児がよく寝る驚きの訓練 開始から1カ月で7時間連続で眠るようになる

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このトレーニングは、きちんと実行すればすぐに効果が見えてきます。まず1週間やってみても、寝かしつけてから数時間で起きることがつづくなら、昼間の睡眠時間をもう一度見直しましょう。昼間の睡眠が長すぎると、夜によく眠れなくなります。

トレーニングをはじめると、赤ちゃんがつづけて寝る時間は、なだらかに増加するのではなく、ジグザグのカーブを描きます。これは、月単位で見れば、睡眠時間はのびていますが、1日ごとに比べると、減ってしまうこともあるということです。

睡眠時間が「3歩進んで2歩下がる」のようにまた短くなっても、がっかりすることはありません。「赤ちゃんの寝る力を引き出す睡眠トレーニング」は生理学にもとづいているため、地道につづければ赤ちゃんは必ずぐっすり眠ってくれるようになります。

研究者たちが効果を証明済み

ロンドンの研究者たちが2017年に発表した研究も、わたしの方法の効果を証明しています。この研究では、(わたしのメソッドより早いですが)生後5週の頃から、夜泣きがはじまっても60〜90秒は泣かせっぱなしにしています。そうした赤ちゃんは生後3カ月でも親の助けを借りずに自分で寝つくことができ、まとめて5時間以上眠るようになりました。

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また、寝つけるようになるまでの期間は、しばらく(90秒)泣かせっぱなしにしたか、ママ・パパが必要以上に介入してしまったかどうかに左右されました。

お子さんがどれくらいで7時間以上眠れるようになるかは、さまざまな要因が関係してくるものの、健康に問題のない赤ちゃんであれば、トレーニングを実践することで、約1カ月で7時間眠れるようになります。トレーニング開始から3カ月たって生後6カ月に入った赤ちゃんのほとんどが、11時間つづけて寝てくれるようになります。

スケジュールが定着し、睡眠トレーニングの効果が出はじめると、生まれ変わったようなすがすがしい気持ちになると思います。お子さんは毎日同じ時間に食事・睡眠をとるようになり、あなたも生活しやすくなります。

夜中に何度か授乳が必要でも、赤ちゃんは「夜は寝る時間だ」とわかっているので、授乳が終わったらすぐにあなたも赤ちゃんもまた眠りはじめます。ここまで来たら、睡眠トレーニングのいちばん大変な部分は終わりです。「よくやった」と自分をほめてあげてください。

ここからは、赤ちゃんが成長し、必要とする睡眠や食事の時間・回数が変化するのに合わせて、定期的に赤ちゃんのスケジュールを微調整すればいいだけです。大きくなるにつれ、授乳しなくてもいい時間はすこしずつ長くなっていくので、昼間の授乳の間隔をゆっくりのばしていきましょう。

生後5〜6カ月頃になって離乳食がはじまったら、それも赤ちゃんのスケジュールに追加する必要があります。

ソフィア・アクセルロッド 睡眠科学者

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そふぃあ・あくせるろっど / Sofia Axelrod

睡眠科学者で二児の母。ニューヨーク・マンハッタン在住。ドイツのエバーハルト・カール大学テュービンゲン、フンボルト大学で学び、2012 年に生物学の博士号を取得。ノーベル生理学・医学賞を受賞したマイケル・W・ヤング氏の研究室に所属し、睡眠についての研究をおこなっている。自身も物心ついたときから不眠に悩まされ、子どもの寝かしつけにも悩んだことから、睡眠科学者としての知識をわが子の寝かしつけに生かすようになる。(写真:Winter Willoughby-Spera)

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