【産業天気図・放送・広告】広告市況回復は望み薄く、終始「曇り」止まり。利益確保はコスト削減次第

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 11年3月期も大きな回復は望めないだろう。テレビでは2月の東京地区スポット(番組と番組の間に流れるCM)出稿額が、24カ月ぶりに前年同月比でプラスに転じるなど、一部で明るい兆しが出て来た。その一方で、タイム(番組スポンサー広告)の需要は戻ってきていない。タイムは3カ月~1年といった長期契約が基本のため、広告主が固定費となるのを嫌っているからだ。タイムをやめ、スポット広告に重点を移す広告主も出て来ている。

放送局の業界団体である日本民間放送連盟の研究所は、11年3月期の放送収入(スポット+タイムの合計)を10年3月期の見込みから、さらに1.8%減少すると予測している。「東洋経済オンライン」も民放連研究所と同様の見方をしており、テレビは来期も減収基調は続くと見ている。テレビ以外の媒体はさらに苦しい状況が続くだろう。

となれば、利益を確保する手段は限られる。広告代理店であれば、成長が見込めるインターネット広告やセールスプロモーション(販売促進支援)の強化。テレビ局であれば、映画や番組の二次利用、通販などの放送外収入の拡大になるが、それらの分野はこれまでも力を入れてきており、急激に伸びるということは考えにくい。結局、どれだけ営業経費や番組制作費などのコストを切り詰めて効率化できるか、が来期も大きな焦点だ。
(中島 順一郎)

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