新型インフルエンザ・ワクチン、大量余剰9900万人分の教訓

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 一方、医療機関の見方は異なる。大阪府保険医協会は「必要なときになかった」と振り返る。昨年末にかけて希望者が押し寄せたときは、優先者以外は断るなど混乱を極めた。だが現在、接種者はほとんどおらず、府内で4割の医療機関が在庫を抱えて困っているという。にもかかわらず「厚労省は新型ワクチンの返品を受け付けない」と憤る。

新型ワクチンは接種に3800円程度が必要だったことも、思うように接種率が伸びなかった要因だろう。

流行は終息へ向かっているが、第二波の可能性もぬぐえない。今後は強毒性ウイルス流行のおそれもある。9900万人分の余剰を教訓に、国内外の調達体制を改めて見直すべきだ。

(前田佳子 撮影:吉野純治 =週刊東洋経済2010年3月20日号)

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