病院のWebサイトが美しくてもほぼ意味ない訳 最低限の見た目で予約ができれば患者は満足

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凝ったWebサイトの病院を私たちが利用するかというと……(写真:metamorworks/PIXTA)

先日、クリニックを開業した友人の医師から「Webサイトを立ち上げたが集客状況が芳しくないので、もっと新規の患者さんが増えるようにアドバイスが欲しい」という相談をもらった。

話を聞くと、クリニック専門のサイト制作会社に数百万円を支払って作ってもらったものの、そのWebサイトに訪れるユーザー数は毎月100人以下だという。当然、新規で患者さんが増えたという実感もない。

結論から言えば、病院の集客において、Webサイトを作っただけでは売り上げには何も貢献しない。これは病院に限らず、美容院、飲食店、不動産屋など、エリアが限られたビジネスを展開するローカルビジネス全般に言えることだ。

しかし開業したてで夢いっぱいの創業者が、店舗の顔とも言えるWebサイトに投資したくなる気持ちはわかる。とくに投資余力の大きいお医者さんともなれば、普通のWebサイトでは飽き足らず、院内のリッチな動画、独自のロゴデザイン、専門性を訴求するコラムなどさまざまな「オプション」を追加していく。

しかし、拙著『デジタルマーケティングの定石~なぜマーケターは「成果の出ない施策」を繰り返すのか?』でも解説しているように、断言するが、これらの大半は一切売り上げにつながらない、お医者さんの自己満足にほかならない。

新規の患者はグーグルマップしか見ない

なぜWebサイトだけで売り上げにつながらないかを理解するためには、まずユーザーの行動を知る必要がある。新規に病院を探すユーザーは、まず「池袋 皮膚科」のように、「エリア×科名」で検索することが多い。もちろん事前に近所に住む友人の口コミがあれば、Webで調べることなく直接病院に行くだろうが、こうした予備知識がない場合、ほぼ確実に「エリア×科名」という検索からスタートする。

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