リニアは、世界でも通用するのか? 米東海岸で進む、知られざる巨大プロジェクト

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米国拠点には大物ズラリ。日本より開業が早い?

すでにJR東海は、(日本の)民主党政権の時代から、リニアの対米輸出の拠点を設立。現地で調査や販促、プロモーションの活動に当たらせている。設立したのは、USジャパン・マグレブ社と、その子会社であるザ・ノースイースト・マグレブ社(TNEM)の2社。JR東海との資本関係はなく、役員も送っていないが、JR東海の実質的な別働隊だ。人脈がモノを言う米国社会にあって、その顔ぶれがすごい。

 USジャパンのCEOには、元国防次官補のリチャード・ローレス氏。USジャパンとTNEMの両社長には、元国家安全保障会議(NSC)部長のトーケル・パターソン氏が就いている。TNEMのアドバイザリーボードには、元民主党上院院内総務のトム・ダシュル氏、元ニューヨーク州知事のジョージ・パタキ氏らが名を連ねる。ローレス、パターソン、パタキ氏は共和党で、ダシュル氏は民主党と、まさに超党派、大物揃いの布陣だ。

もはやリニアの米国輸出は、安倍-オバマの政府間プロジェクト。米国の場合、リニア建設が複数の州をまたぐため、政党間の調整というより、州との調整の方が難しい。現にメリーランド州では当初、リニアに慎重姿勢だったが、環境問題などをクリアした結果、大きく前進した経緯がある。

ある鉄道関係者は「米東海岸は、南アルプスのような起伏のある日本と異なり、難工事が少ない。いったん決まれば、日本より開業が早いかもしれない」と見通す。日本ばかりで注目されるリニアだが、米国での動きにも注意しておいた方がよさそうだ。

詳細は「週刊東洋経済」5月31日号特集「リニア革命」をご覧下さい

大野 和幸 東洋経済 記者

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おおの かずゆき / Kazuyuki Ohno

ITや金融、自動車、エネルギーなどの業界を担当し、関連記事を執筆。相続や年金、介護など高齢化社会に関するテーマでも、広く編集を手掛ける。

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