家系ラーメン「町田商店」がコロナに動じない訳 5年後の「国内1000店舗計画」は一切変更せず

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ギフトの店舗数は2020年7月時点で514店舗。そのうち直営店は108店でFC(フランチャイズ)店が396店となっている。2020年10月期は約75店の純増を見込んでいるが、そのうちFC店が約40店と半分強を占める予定だ。このFC展開を支えるのがギフト独自のシステムである「プロデュース事業」だ。

田川社長
「一般的なFCでは、売り上げの数%をロイヤリティ(手数料・経営指導料)として取ることが多いが、当社のFCではこうした費用を一切取らず、麺やスープの卸売りのみで稼ぐ『プロデュース事業』という戦略を取っている。屋号も、オーナーさんごとに自由に名前をつけてもらうことができるようにしている」

ラーメン好きの消費者の中には、「味が画一的だから」とチェーン店に抵抗感を示す人も多い。この点、ギフトのプロデュース事業ではオーナーが自由に店舗名を付けられるので、チェーン店に対する負のイメージをある程度払拭できるというわけだ。

町田商店で提供されるラーメン。濃厚でクリーミーなスープに、ホウレンソウやノリがついてくるのが特徴(記者撮影)

出店形態は、初期投資が小さくて済む店舗やその地域に詳しいオーナーがいる場合はFC、初期投資のかかる都内ロードサイドは直営で出すなど、一店ごとに綿密な分析を行ったうえで判断しているという。

ギフトの得られる利益額は直営のほうが大きい反面、利益率はコストが少なくて済むFCのほうがよいなど、投資対効果の違いも出店判断の際に考慮する。

北関東や東北が重要エリア

かねて田川社長は、国内1000店舗体制の構築を目標として掲げてきた。ただ、飽和気味ともいわれるラーメン市場で、現状の約500店を倍増させる計画は過剰出店との見方もある。田川社長の考えはコロナ禍の今でも変わっていないのだろうか。

「直営とFCを合わせて2025年をめどに1000店舗とする計画は変えない。西方エリア、東北、北海道などでは、家系というジャンルがまだ浸透していないため十分な勝算がある。出店の難易度は高いが東京や神奈川でも残り150店ほどは家系ラーメンの出店余地があると考えている。
とはいえ、競争環境の激しさを考えると、ラーメン消費量は多いがそこまで店舗数の多くない北関東や東北が、今後の重要エリアになってくる。地方を攻めるうえでは、現地をよく知るFCオーナーさんがカギを握るだろう」
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