ダイヤモンド社に集う「大リーガー編集者」

特別対談 ベストセラーを生むための編集と営業(下)

 2009年10月に創設された「ビジネス書大賞」。毎年、1 年間を代表するビジネス書を選出し、表彰している。2014年に受賞した作品は以下のとおりだ。
・大賞(経済書部門):『統計学が最強の学問である』(西内啓/ダイヤモンド社)
・大賞(経営書部門):『経営戦略全史』(三谷宏治/ディスカヴァー・トゥエンティワン)
・書店賞:『伝え方が9割』(佐々木圭一/ダイヤモンド社)
・審査員特別賞:『嫌われる勇気』(岸見一郎・古賀史健/ダイヤモンド社)
 4賞のうち、3つをダイヤモンド社の本が獲得。現在のビジネス書界で、同社の力は際立っている。なぜダイヤモンド社の本ばかりが売れるのか? その謎を解くべく、書籍編集局第三編集部の和田史子編集長と、営業部の井上直部長に話を聞いた。

※前編「ダイヤモンド社の本は、なぜ売れるのか?」はこちら

「大リーガー編集者」がゴロゴロ

佐々木:お話を伺っていると、編集者間の競争は激しいけれど、誰かが独り勝ちするのではなく、全員にベストセラーを出すチャンスがある。そこがいいですね。

和田:社内異動で来たばかりの人や編集未経験者からすると、最初は厳しいと感じるかもしれません。何しろベストセラーを次々と生み出す「大リーガー編集者」がゴロゴロいますから。私も社内異動でしたので、当初はそう感じていました。中途採用の優秀な編集者が入って来たり、勝間和代さんなどベストセラー著者の方がたくさん出てきてビジネス書ブームが起こったあたりから、さらに切磋琢磨し合うムードになってきた気がします。

佐々木:おカネの話ばかりするのはいやらしいですが、大リーガーというからには、年俸何千万円というスター編集者を意図的につくったらどうですか。そこまでやれば、編集者という仕事に人気が集まるかもしれません。

和田:そうなると、弊社の場合は人件費が経営を圧迫するかもしれませんね(笑)。でも、金銭的インセンティブが強くないからこそのメリットもあるように感じます。それは編集者同士で知恵を出し合えること。アイデアやノウハウの出し惜しみがありません。ひとりの編集者がタイトルに悩んでいたら、みんなが自分のことのように必死で考えることもあります。

編集者は個人プレーが基本ですが、ヒットを出せる編集者の能力が属人的なもので終わってしまわないよう、目指すのは「チームプレーの良さを活かした個人プレー」です。互いに成長できる組織や環境でなければ、若い人はこの仕事に魅力を感じないでしょう。「自分も成長できそうだ」という可能性を感じてもらうことは、ビジネス書に限らず全編集者の課題なのかもしませんが……。

佐々木:確かにそうですね。出版社って保守的なところも多いと思いますが、新しい挑戦を歓迎する雰囲気はありますか?

和田:「やったことないなら、やってみよう」という社風だと思います。

「業界初のテーマです」とか、「初めて本を出す著者です」というと、営業が張り切ってくれます。今まで本を出したことがある著者でないと、企画書が通らないという出版社もあると聞きましたが、ダイヤモンド社は逆。処女作というと営業部が大喜びです。

井上:そういうのがいちばん燃えるんだよね。「次もダイヤモンドで本を出したい」と思ってもらえたら営業冥利に尽きる。

和田:売れっ子著者さんにスキマ企画を持っていくよりも、新しい著者をどんどん発掘しよう!という感じですね。

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