悪戦苦闘する現場に明日はあるか 【特集/百貨店・スーパー大閉鎖時代】

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 07~08年にかけ、業界では経営統合が相次いだ。その結果大手は、三越伊勢丹ホールディングス、J・フロント リテイリング(大丸松坂屋)、そごう・西武、そして高島屋とH2Oリテイリング(阪急阪神)の4グループに集約されている。

統合により高コスト体質の見直しは進んでいるが、肝心の営業強化の道筋が見えてこない。一部にはJ・フロントが大丸心斎橋店で取り組むファッションビル化など大胆な取り組みもあるが、各社とも浮上のきっかけをつかめないでいる。

一口に百貨店といっても、売上高や立地によって、おおよそ3階層(3大都市圏の旗艦店、政令都市の都市型店、その他都市の地方店)に分かれる。その階層によりアパレルとの取引条件も、顧客層も大きく異なる。当然とるべき手法は違い、一つの勝ちパターンだけで他の店の底上げを図ることは難しい。同じグループ内でも順調な店と不振店が混在するゆえんだ。

それではどの店が閉鎖の危機に瀕しているのか。週刊東洋経済2010年3月13日号では全国の百貨店にアンケートを実施、個店ごとの実態を調査した。

一般に1平方メートル当たり売上高が100万円以上なければ、百貨店としての経営は難しいと言われている。調査の結果、回答のあった全国208店のうち、そのラインを超えたのはわずか70店しかなかった。地方店を中心に不採算部門の撤退が進んでいるが、今後さらなる業態の見直し、もしくは閉鎖を迫られる可能性がある。

そしてその先にあるのが、業界の再々編だ。ポイントはいくつか考えられるが、朝永久見雄JPモルガン証券シニアアナリストは「百貨店の統合は、競合店舗が多い組み合わせほど効果を発揮する」と指摘する。

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