コロナで激変「印象のよい採用サイト」トップ20 エアライン2社の人気が急落、IT企業が追い上げ

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2020年卒で3位だった東京海上日動火災保険だが、2021年卒では9位と順位を下げた。同社のホームページについては「さわやか。見やすい」(旧帝大クラス・文系)とある。そのさわやかさは「青」にあるようだ。「青で統一されていて見やすかった」(上位私立大・文系)。

若い学生は向上心が旺盛だが、向上心には具体的な目標が必要だ。「こんな大人になりたい」と思わせるホームページに学生は共感する。「働いている社員の印象がよかった」(早慶大クラス・文系)「さまざまな情報が見やすく、社員の方の写真ともに紹介があった」(早慶大クラス・文系)。

2020年卒の61位から2021年卒では9位へと大躍進を遂げたのが任天堂だ。同社のホームページの評価ポイントは、「職種のわかりやすさ」と「楽しさ」。「企業のイメージや仕事内容が非常にわかりやすかった」(早慶大クラス・文系)、「社員さんの体験記がとても魅力的な内容で、その職種の面白さを余すことなく伝えていると感じた」(旧帝大クラス・文系)。

キャラクターに触れるコメントも多い。「任天堂の顔であるキャラクターがあり、見ているだけでも楽しかった」(中堅私立大・文系)、「選考に進むかどうかにかかわらず、見ていて楽しいホームページだった」(上位国公立大・文系)。

応募意欲を高める工夫を

2021年卒採用ホームページのトップ10企業を見てきたが、評価されるホームページに共通するのはデザイン性だ。学生は「見やすい」「わかりやすい」と書くが、「使いやすい」「ほしいページにすぐ飛べる」などの遷移のしやすさは体感速度を上げて好感度を上げる。

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学生の理解を深めたいなら社員に語らせたほうがいい。言葉だけの理念は伝わらない。抽象的な企業理念を語りたいなら、その理念が生まれた時代背景や創業者の人となりもストーリーとして語るべきだろう。動画コンテンツも重視したいポイントだ。学生は丁寧に見ている。制作の労は大きいが、見合うだけの共感は得られるはずだ。

これまでの新卒採用は、就活サイトや学内企業セミナー、合同企業説明会による集客に期待していた。しかし、コロナ禍によって対面式の採用活動は制限され、これから緩和されることはあっても撤廃されることはなさそうだ。期待できない。

自社の取り組みによって学生をひきつけ、応募意欲を高める施策が重要になる。既存の新卒採用の仕組みでできることは限られており、まずなすべきは採用ホームページの充実である。

佃 光博 HR総研ライター

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つくだ みつひろ / Mitsuhiro Tsukuda

編集プロダクション ビー・イー・シー代表取締役。HR総研(ProFuture)ライター。早稲田大学文学部卒。新聞社、出版社勤務を経て、1981年文化放送ブレーンに入社。技術系採用メディア「ELAN」創刊、編集長。1984年同社退社。 多くの採用ツール、ホームページ製作を手がけ、とくに理系メディアを得意とする。

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