再び開業延期、将来見えぬ「ホノルル鉄道」の今 コロナでハワイ州の観光業は壊滅的な打撃

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また、小売業では経営が成り立たないと考え、オンライン講座を開設したり、バーチャルツアーを計画したりするなど、多くの経営者がビジネスモデルを変えて対応しているという。今後どれだけのビジネスが廃業に追い込まれるのか、それとも州政府が観光の扉を開けるのが早いか、瀬戸際の状態だ 。

12月13日に予定されていたJALホノルルマラソンも開催を断念した。定期便の運航がいつ再開するか、また到着時の14日間隔離ルールがいつどのように撤廃されるのかも大きなポイントである。

活気づく不動産業界

そんな状況の中、不動産業界は活気づいている。コロナ禍においてリモートワークが進む中、アメリカ本土のIT長者たちがハワイ島、マウイ島をはじめ、このオアフ島でも人気のダイヤモンドヘッドのふもとの一等地の戸建て住宅やマンションを買いあさっているという。提示されている金額より多く出してまで買いたい人がいるということだから驚きだ。通常より安価なので現在は “買い時”なのだという。タイムシェアも底値と言われるほどまで下がっているので、まとめ買いをする人もいるという。

人影が消えたワイキキビーチ(写真:アヒ・ポキ)

10月15日からアメリカ本土からの観光客を迎え始めたが、ホテルはまだすべて再開しているわけではなく、シェラトンワイキキとモアナサーフライダーは11月1日、ロイヤルハワイアンは12月15日からオープンする予定だ。景気が冷え込んでいるせいか、スリが増えているという話も聞く。いつもならにぎやかなワイキキのクヒオ通りも人が少ないせいか、日中歩いていても後ろの人を気にしてしまうほどで、アメリカ本土にいるかのような緊張感が必要だ。

リーマンショック時は元に戻るのに3年かかったと言われるが、地元エコノミストによると、2019年当時の経済状況に戻るには4〜6年かかるという。ホノルルはそもそも物価が高いので、2年以内に3万人がホノルルを出ていくと言われている。この先、まずは年末年始にどれだけ観光客が入ってくるかが鍵になりそうだ。

堀内 章子 ハワイ在住ライター

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ほりうち・しょうこ / Shoko Horiuchi

1996年からシンガポール、米サンフランシスコに、2007年からハワイに在住。海外在住ライターをまとめるホリコミュニケーションの代表。

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