報告書がイマイチな人はメモのコツを知らない 表現力ではなく「素材」をどう見つけるかだ

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そうはいっても何を書いていいかわからない、という人は「日報は誰が読むのか」という「読み手」に頭を巡らせるとイメージがしやすい。

日報を読むのは、多くの場合で上司だ。つまり、上司が知りたいに違いない、と思えることをメモしておけばいい。上司に1日を報告するなら、何をするか。その日の仕事について知りたいであろうことをメモしておく。営業なら、訪問先、商談の内容、進捗状況、課題、解決法、起こしたアクションなどだろう。

文章は素材=事実、数字、エピソードでできている

そして日報といっても、つらつらと文章を書かなければいけないわけではない。必要なのは、上司が状況を理解できること。そのための「素材」があればいい。重要なのは日報の文章ではなく、「素材」=「事実」「数字」「エピソード(コメント)」なのである。

実は、私が苦手だった文章が書けるようになったのは、文章が「素材」からできている、ということに気づいたからだ。とりわけビジネス文書なら、求められているのは文章力や表現ではない。実は中身そのものなのである。それをこそ、読み手は知りたいのだ。それを書けばいいのである。

むしろ、表現などしないほうがいい。例えば、典型的なのが形容詞だ。気の利いた形容詞を見つけようと文章に悩む人がいるが、むしろ逆である。

私の書くキャリアのスタートは、リクルートでの採用広告のコピーライターだったが、新人が必ずやってしまうコピーがあった。「当社はいい会社です」である。

いい会社という形容をしようと、「立派な」「素敵な」などと頭を巡らせるわけだが、実はこれではまったく伝わらない。そんなことより、「この5年、社員は1人も辞めていない」「10年間、右肩上がりに成長している」「社長が誕生日にプレゼントをくれる」「社員のAさんは3年で課長に昇進した」と書いたほうが、よほど伝わる。

これこそが、「素材」=「事実」「数字」「エピソード(コメント)」である。「素材」がただ並んでいるだけでも、読み手は十分に理解できるのである。

だから日報であれば、上司が求めてくるであろう「素材」をメモしておく。お客さまを訪問したら、アポイントを終えたすぐあとに、簡単でかまわないので、「事実」「数字」「エピソード(コメント)」をメモする。

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