辞めないなら小沢幹事長は「闘う政治家」に戻るべき

辞めないなら小沢幹事長は「闘う政治家」に戻るべき

塩田潮

 40年余の政治歴、七転び八起きの不死身人生、強力パワーの小沢幹事長が政治生命の危機に直面している。

 「幹事長辞任」を求める世論は依然強い。だが、中央突破の方針を変える気配はない。昨年、代表辞任を決めたときは、首相就任の夢は破れるものの、総選挙後の幹事長就任による再起・復権のシナリオを描くことができた。今回は、幹事長を降りると、世論の風当たり、政権交代後という政治状況、それに本人の年齢や健康状態もあって、「小沢時代の終わり」となりかねない。
 小沢氏にすれば、強気に出ると、世論の反発が高まって逆効果という判断から、反撃せず、表舞台に出るのも控えて、低姿勢で嵐の通過をじっと待つ作戦と映る。その戦法で「小沢時代の終わり」阻止の勝算はあるのか。

 逆風は強いが、一方で国民の間には長年、強く支持し続けてきた小沢ファンも少なくない。独自の構想とプランを追う剛腕の改革派リーダーという点に期待を寄せてきたが、もう一つ隠れた人気の秘密は「闘う政治家」という顔であった。
 ところが、現在は風当たりを避けるためとはいえ、塹壕に身を隠して天候が変わるのを待つ「逃げ」の戦法である。これは「闘う政治家」の取る道ではない。1月に「徹底して闘う」と検察との全面対決を表明しながら、自身の不起訴決定後、一転して「検察の公平・公正な捜査の結果」と述べたのを見て、「闘う政治家」らしからぬご都合主義と失望した人もいたはずだ。

 辞めずに第一線でという決意なら、いますぐ「闘う政治家」に戻るべきだ。「闘う政治家」が真っ先に取り組むべきは、進んで国会の場に出て「政治とカネ」をめぐるさまざまな疑問に答えて説明責任を果たすことだろう。
 その結果、政治がどう動くかは見通せないが、起死回生の一手となる可能性もある。もしかすると、小沢氏は「辞任カード」とともに、いま密かに「説明責任カード」の使い方と使い時を模索しているのかもしれないが。
(写真:尾形文繁)
塩田潮(しおた・うしお)
ノンフィクション作家・評論家。
1946(昭和21)年、高知県生まれ。慶応義塾大学法学部政治学科を卒業。
処女作『霞が関が震えた日』で第5回講談社ノンフィクション賞を受賞。著書は他に『大いなる影法師-代議士秘書の野望と挫折』『「昭和の教祖」安岡正篤の真実』『日本国憲法をつくった男-宰相幣原喜重郎』『「昭和の怪物」岸信介の真実』『金融崩壊-昭和経済恐慌からのメッセージ』『郵政最終戦争』『田中角栄失脚』『出処進退の研究-政治家の本質は退き際に表れる』『安倍晋三の力量』『昭和30年代-「奇跡」と呼ばれた時代の開拓者たち』『危機の政権』など多数
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