労働組合はアタマが古すぎる

ゼンショー・小川社長が語る経営哲学(4)

小川賢太郎(おがわ・けんたろう)●1948年石川県生まれ。68年東京大学入学。82年ゼンショー設立
「週刊東洋経済」2010年11月27日号掲載の「トップの肖像」は、外食日本一の座にのぼりつめたゼンショーの小川賢太郎社長を取り上げた。この記事をまとめるために行った小川社長へのインタビューは2回、合計6時間以上に及んだ。
昨今、ブラック批判にさらされるゼンショーだが、このインタビューを読むことで、小川社長のブレない経営哲学、生き様が手に取るように伝わってくるはずだ。
ノーカット掲載版の第4回。
第1回 「ゼンショーが抱く、あまりにも壮大な夢」こちら
第2回 「これがゼンショー流の成り上がり術だ」こちら
第3回 「こうしてゼンショーは危機を乗り越えてきた」こちら

流通サービス産業はすばらしい自己実現の場

――フレキシビリティというのは私も賛成なんですが、小川さんは、一方ではものすごく崇高な理念を掲げていらっしゃる。飢餓と貧困をなくそうと。それと、現場で働いている人間を入れようと。彼らの労働条件もよくしていくんだというビジョンを両立すれば、何となく結びつくと思うんですが、労働条件自体がある意味で現実主義的で、小川さんが掲げていらっしゃる高い理念とは……。

そこは現場の労働のことをあまりご存じないんじゃない。言いたいことは何かというと、汗かいて働いている、ここは価値を生み出す。特に流通サービス産業の中においては。そうでしょう。いわゆる労働集約型とか言われているけれども。

その仕事というのは、要するにお客様にいい商品、いいサービスをして、車を作ってネジを締めているだけだと、直接的に消費者、車のユーザーというのは接触機会もないし、なかなか見えてこないと思うんだけど、流通サービス産業においては、お客様、エンドユーザーが見えるわけですよね。だから、ここはすばらしい自己実現の場でもあるし、お客様からすぐ返ってくるわけです。

ぞんざいなサービスをすれば、お客様は何だよという態度になるし、よくうちでも褒めの言葉とかをいただいたのを現場へフィードバックしているんですけれども、牛丼を食べた後、ちょっと胃薬を飲もうかなというときに、言われなくてもお水をお持ちするとかということによって、ものすごくお客様が感動してもらったり、やっている本人がそういう反応は一番うれしいですよね。

人間って、そういうものだと思うんです。だから、本当の労働の意味ですよね。残業代を払わないとか言っているんじゃなくて、上場企業として、当然それはきちんとやるべきだし、やっているわけです。

ただ、渋谷でも1件、そういうものがあったんだけど、現場で計算間違いがあった。実際、複雑なんですよ。今もよく覚えているのは、そのお店の場合は変形労働時間で、9時に入る人もいれば11時に入る人もいて、1日3時間の人もいれば9時間の人もいるわけですよ。日によっても違ったりするわけです。

そういう中で1週間、あるいは1カ月で百六十何時間とか、残業の基準があるわけですよね。そこをオーバーした分について、当然残業扱いをするという計算なわけですけど、そこのところで申請して審査して事務処理すると。これで間違いがあったわけです。そこから始まってということが、当時1000店ぐらいありますから、そういう中でごく少数、やっぱり発生する。

僕が言いたいのは何かというと、現場をご存じないですねという失礼な言い方をしたのは、現場において、労働時間の申請から始まって、これは間違うことありますねと。本人も間違えて多く申請したりすることもあるし、事務処理において間違えることもある。ただ、それは少ないんだけど、ある確率であるわけです。

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