コロナ危機でデジタル化の未来が見えてきた 野村総研の此本臣吾社長が語る課題と期待

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――テレワークそのものの効果はどう見ていますか。

当社もテレワークを推進しているが、テレワークをめぐっては諸説、意見が分かれている。ある経営者は100%にすると言うし、別の経営者は対面のほうがいいと言う。私たちも定期的にアンケート調査を行っているが、テレワークだと生産性が落ちるという回答がものすごく多い。

――そうなんですか。

6~7割は生産性が落ちるというものだ。しかし、真実はどうなのか。調べてみると、面白いことがわかった。

1つは、確かに生産性は落ちるけれども、落ちても1割程度であること。そんなに大きなダメージにはなっていない。テレワークが可能なのはホワイトカラーの仕事だが、その7割はコミュニケーションであるということは、ほぼ共通している。メール、会議、雑談などだ。これをテレワークにすると、2割ぐらいコミュニケーション量が減る。

出社とテレワークの組み合わせが有効

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コミュニケーションしなくてもできる仕事をしているということはあるけれど、コミュニケーションを減らすと、仕事の成果の質と量が落ちてしまう。短期的には効率が上がっても、長期的にはマイナスの影響が出る。

一方、テレワークをすると従業員の満足度は高まるということがわかった。家族と一緒にいる時間が増えるとか、通勤時間がかからないとか、リラックスできるなどで、仕事に対する満足度が上がる。テレワークをしたほうが生産性は若干落ちるが、従業員の満足度が上がるのだから、やったほうがいい。

つまり、出社とテレワークを組み合わせるのがよいということになる。

――期せずして働き方改革ができてしまったところがありますね。ただ、年齢や立場でテレワークの有効性には違いがあるのでは?

もちろんあります。職種や年齢の問題はある。それと、上司のマネジメントスタイルがうまくいくかいかないかに大きく影響する。ただ、これからも続けたほうがいいことは確かだ。

大崎 明子 東洋経済 編集委員

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おおさき あきこ / Akiko Osaki

早稲田大学政治経済学部卒。1985年東洋経済新報社入社。機械、精密機器業界などを担当後、関西支社でバブルのピークと崩壊に遇い不動産市場を取材。その後、『週刊東洋経済』編集部、『オール投資』編集部、証券・保険・銀行業界の担当を経て『金融ビジネス』編集長。一橋大学大学院国際企業戦略研究科(経営法務)修士。現在は、金融市場全般と地方銀行をウォッチする一方、マクロ経済を担当。

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